[SSS11-P11] 常時微動を用いた地震波干渉法による2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)及びSlow Slipに伴う地震波速度変化検出
キーワード:地震波干渉法、常時微動
巨大地震前後あるいは,巨大地震に先行する地震波速度変化を検出する一つの手法として常時微動を用いた地震波干渉法が有効である.これまでに複数の先行研究において,地震発生前後(例えば,Wegler et al., 2009;Yamada et al., 2010)及び地震発生前に地震波速度が低下するという結果が得られている(例えば,Lockner et al., 1977;Yoshimitsu et al., 2009).一方,Slow Slipに伴う地震波速度変化はほとんど知られていない.
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)発生前の同年1月末から3月9日の最大前震(Mw7.3)発生までの間にSlow Slipおよび低周波微動が宮城沖で観測された(Ito et al., 2013; Ito et al.,2015;Katakami et al., 2016).本研究では,常時微動を用いて地震波干渉法解析を行い,東北地方太平洋沖地震及びSlow Slipに伴う地震波速度変化の検出を試みた.解析には2010年11月初旬から2011年4月下旬まで宮城県沖に設置されていた17点の自己浮上式海底地震計(固有周波数4.5Hz)の記録を用いた.解析を行う前に海底地震計の設置方位を自然地震の直達P波の振動軌跡を用いて推定したところ,17点中13点の海底地震計については設置方位を決定することができた.
解析手法は以下の通りである.はじめに,連続波形データに0.25~2.0Hzのバンドパスフィルタをかけ,その後1bit化処理を行う.次に,ラグタイム-30~30秒に0.1秒刻みで,5秒間時間窓を用いて相関係数を計算し自己相関関数を作成する.連続した7日間又は16日間,及び全期間の自己相関関数をスタックして7日間自己相関関数,16日間自己相関関数,Referenceを計算する.最後に,7日間自己相関関数とReference,16日間自己相関関数とReferenceの相互相関係数(Correlation Coefficient, CC)を計算する.
解析の結果,Slow Slip発生初期ではCCが低下するがSlow Slip後半ではCCがSlow Slip発生前の値まで戻ることがわかった.また,Slow Slip発生初期の16日間とReferenceのCCの1.0からの減少量(Absolute CC Reduction, ACR )とSlow Slip発生直前の16日間とReferenceのCCからの減少量(Incremental CC Reduction, ICR)を比べると,Slow Slip発生息周辺ではACRとICRに差が発生せず,最大前震発生領域周辺ではACRとICRに差が発生することがわかった.16日間とReferenceのCCの推移をみると,前者ではSlow Slip発生するまでCC≒1.0を保っておりSlow Slipに伴って急激に低下するが,後者ではCCが11月から徐々に低下しておりSlow Slipに伴って少し低下するという違いが見受けられた.これは,Slow Slipと地震の違いだと考えられる.
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)発生前の同年1月末から3月9日の最大前震(Mw7.3)発生までの間にSlow Slipおよび低周波微動が宮城沖で観測された(Ito et al., 2013; Ito et al.,2015;Katakami et al., 2016).本研究では,常時微動を用いて地震波干渉法解析を行い,東北地方太平洋沖地震及びSlow Slipに伴う地震波速度変化の検出を試みた.解析には2010年11月初旬から2011年4月下旬まで宮城県沖に設置されていた17点の自己浮上式海底地震計(固有周波数4.5Hz)の記録を用いた.解析を行う前に海底地震計の設置方位を自然地震の直達P波の振動軌跡を用いて推定したところ,17点中13点の海底地震計については設置方位を決定することができた.
解析手法は以下の通りである.はじめに,連続波形データに0.25~2.0Hzのバンドパスフィルタをかけ,その後1bit化処理を行う.次に,ラグタイム-30~30秒に0.1秒刻みで,5秒間時間窓を用いて相関係数を計算し自己相関関数を作成する.連続した7日間又は16日間,及び全期間の自己相関関数をスタックして7日間自己相関関数,16日間自己相関関数,Referenceを計算する.最後に,7日間自己相関関数とReference,16日間自己相関関数とReferenceの相互相関係数(Correlation Coefficient, CC)を計算する.
解析の結果,Slow Slip発生初期ではCCが低下するがSlow Slip後半ではCCがSlow Slip発生前の値まで戻ることがわかった.また,Slow Slip発生初期の16日間とReferenceのCCの1.0からの減少量(Absolute CC Reduction, ACR )とSlow Slip発生直前の16日間とReferenceのCCからの減少量(Incremental CC Reduction, ICR)を比べると,Slow Slip発生息周辺ではACRとICRに差が発生せず,最大前震発生領域周辺ではACRとICRに差が発生することがわかった.16日間とReferenceのCCの推移をみると,前者ではSlow Slip発生するまでCC≒1.0を保っておりSlow Slipに伴って急激に低下するが,後者ではCCが11月から徐々に低下しておりSlow Slipに伴って少し低下するという違いが見受けられた.これは,Slow Slipと地震の違いだと考えられる.