11:30 〜 11:45
[SSS12-16] 郷村断層(郷西方断層・郷村断層・仲禅寺断層)の地下比抵抗構造
キーワード:郷村断層、地下比抵抗構造、ダメージゾーン
郷村断層帯は京都府の丹後半島に位置する,全長34km以上の断層帯で,郷村断層,丹後半島北西沖合の断層,仲禅寺断層などで構成される(地震調査委員会,2004).郷西方断層,郷村断層,仲禅寺断層はそれぞれ近接(数km以内)し,かつ平行に位置しているが,断層ごとに特徴が異なる.郷村断層は1927年の北丹後地震の際に左横ずれを主とする顕著な地表地震断層を生じた.一方で,郷西方断層は横ずれ変位を示す証拠がはっきりしない断層である.郷村断層と仲禅寺断層を比較すると,最新活動時期は郷村断層の方が1万年ほど新しく,累積変位量は仲禅寺断層の方が約2倍大きい.
断層周辺には,断層運動に伴い破砕され,空隙の多くなったダメージゾーンが存在し,ここに流体が入り込むことによって比抵抗が低くなることが知られている(e.g. Ritter et al., 2005).このような低比抵抗領域は,断層の最新活動時期や累積変位量に対応して,空間的な広がりや周囲との比抵抗コントラストが異なると予想される.そこで本研究では,郷西方断層,郷村断層,仲禅寺断層の地下比抵抗構造を求め,各断層の最新活動時期や累積変位量の特徴が,どのような比抵抗構造の違いとして現れるのか明らかにすることを目的とした.
大内(2014)は郷西方断層と郷村断層を対象としたAMT観測を行い,両断層周辺の地下比抵抗構造を求めている.本研究では,仲禅寺断層含むように大内(2014)の測線を延長し,その測線上の25点(大内(2014):12点,本研究:13点)においてAMT観測を行った.
観測によって得られた磁場と電場のデータからRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いてMT応答関数を算出した.はじめに,Phase Tensor法(Caldwell et al.,2004;Bibby et al.,2005)を用いて次元の判定を行い,調査地域周辺の比抵抗構造は2次元であると判断した.次に,同じくPhase Tensor法を用いて比抵抗構造の走向を判定したのち,TE,TMモードのMT応答関数を算出した.得られたTE,TMモードのMT応答関数から,ABIC最小化による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード(Ogawa and Uchida,1996)を用いて,2次元比抵抗モデルを求めた(GCHモデル).
GCHモデルは6つの低比抵抗領域(C1-C6)で特徴づけられる. 郷西方断層の直下のC1以深の領域では低比抵抗領域はみられないのに対し,郷村断層,仲禅寺断層の直下ではそれぞれ低比抵抗領域C3,C4がみられた.また,郷村断層直下の低比抵抗領域C3の幅は仲禅寺断層直下の低比抵抗領域C4に比べ広くなっている.現時点では,郷村断層,仲禅寺断層直下の低比抵抗領域は,断層のダメージゾーンの空隙に流体が浸入したことによって生じたものだと考えられる.また,低比抵抗領域C3,C4の幅の違いは,各断層の最新活動時期の違いによるものだと考えられる.
断層周辺には,断層運動に伴い破砕され,空隙の多くなったダメージゾーンが存在し,ここに流体が入り込むことによって比抵抗が低くなることが知られている(e.g. Ritter et al., 2005).このような低比抵抗領域は,断層の最新活動時期や累積変位量に対応して,空間的な広がりや周囲との比抵抗コントラストが異なると予想される.そこで本研究では,郷西方断層,郷村断層,仲禅寺断層の地下比抵抗構造を求め,各断層の最新活動時期や累積変位量の特徴が,どのような比抵抗構造の違いとして現れるのか明らかにすることを目的とした.
大内(2014)は郷西方断層と郷村断層を対象としたAMT観測を行い,両断層周辺の地下比抵抗構造を求めている.本研究では,仲禅寺断層含むように大内(2014)の測線を延長し,その測線上の25点(大内(2014):12点,本研究:13点)においてAMT観測を行った.
観測によって得られた磁場と電場のデータからRemote reference法(Gamble et al.,1978)を用いてMT応答関数を算出した.はじめに,Phase Tensor法(Caldwell et al.,2004;Bibby et al.,2005)を用いて次元の判定を行い,調査地域周辺の比抵抗構造は2次元であると判断した.次に,同じくPhase Tensor法を用いて比抵抗構造の走向を判定したのち,TE,TMモードのMT応答関数を算出した.得られたTE,TMモードのMT応答関数から,ABIC最小化による平滑化拘束付き2次元比抵抗インバージョンコード(Ogawa and Uchida,1996)を用いて,2次元比抵抗モデルを求めた(GCHモデル).
GCHモデルは6つの低比抵抗領域(C1-C6)で特徴づけられる. 郷西方断層の直下のC1以深の領域では低比抵抗領域はみられないのに対し,郷村断層,仲禅寺断層の直下ではそれぞれ低比抵抗領域C3,C4がみられた.また,郷村断層直下の低比抵抗領域C3の幅は仲禅寺断層直下の低比抵抗領域C4に比べ広くなっている.現時点では,郷村断層,仲禅寺断層直下の低比抵抗領域は,断層のダメージゾーンの空隙に流体が浸入したことによって生じたものだと考えられる.また,低比抵抗領域C3,C4の幅の違いは,各断層の最新活動時期の違いによるものだと考えられる.