[SSS12-P04] 干渉SARの新たな解析を用いて検出した平成26年(2014年)11月22日長野県北部の地表地震断層
キーワード:干渉SAR、地表地震断層、平成26年(2014年)11月22日長野県北部の地震
内陸直下型地震によって生じた広域の地殻変動は,合成開口レーダを使用した干渉SAR画像解析による干渉縞の画像によって把握することができるようになってきた(例えば,雨貝ほか2008).最近では,干渉SAR画像を用いて干渉位相の不連続と,現地調査によって確認された地表変位とあわせて検討(例えば,中埜ほか2015)がなされるようになってきたが,干渉SAR画像の干渉位相の不連続を指標に地表変状の検出する場合には,干渉画像を大縮尺に拡大することで位相の境界部が不鮮明となり,地表変状位置を特定しにくい場合がある.
筆者らは干渉SARによる干渉縞,低コヒーレンス値分布図,およびDEMデータによる傾斜量図を重ねることにより,地表地震断層を検出する方法を検討した(小俣ほか2016、三五ほか2016).
干渉縞がずれる位相の不連続と低コヒーレンス値を示す地点が一致する場合には地表地震断層の可能性が高い.低コヒーレンス値が連続するにも関わらず干渉縞に不連続が生じていない場合には,地表地震断層ではない地表変状の可能性が高い.その地点が傾斜地であれば地すべりや崩壊,平坦地であれば液状化等の地盤変状の可能性がある.
平成26年(2014年)11月22日長野県北部の地震(Mj6.7)において,筆者らは地震発生直後から現地調査を実施し,白馬村の姫川沿いに地表地震断層が出現していることを確認した(小俣ほか2015).本発表では,この時の地表地震断層の現地調査結果と、新たに実施した干渉SAR解析による干渉縞および低コヒーレンス図に地形表現図(傾斜量図)を重ねた図とを比較検討し,この干渉SAR解析の有効性を検証した.
JR白馬駅東方から信濃森上東方の城山にかけて連続する地表地震断層が干渉SAR解析図から判読できる.このトレースは松川を横断しているが,松川河床内にも断層変位を被る地形の連続が判読できる.また,白馬駅東方の大出付近では3条の低コヒーレンスの連続が認められた.現地調査では白馬駅より北側では比較的連続性の良い地表地震断層が確認された.大出付近においては東上がりの地表地震断層が3条確認された.
城山東側の水田は干渉せず低コヒーレンスが面的に表示されてしまい地表変状は検出できなかったが,現地調査において東北東―西南西方向の2条の地表地震断層が確認され,断層の間がバルジ状を呈していることが確認された.
白馬駅―飯森駅間においてJR大糸線と姫川間の水田では干渉縞の位相の不連続に一致する低コヒーレンス値の分布が断続的に認められる.現地調査では白馬駅南方の体育館南までは水田,耕作地に地表地震断層の連続が確認できたが,深空東方では顕著な地表地震断層は確認できなかった.
JR神城駅東方では飯田から三日市場に連続して幅を持つ低コヒーレンスの帯が確認される.現地調査では水田に撓曲変形が確認された.飯田においてトレンチ掘削調査が実施され横ずれ断層が確認されたが,その南側に位置する堀之内から三日市場にかけては,緩やかな水田の傾動などが確認されるが,地表地震断層の位置を特定することは非常に困難である.
なお,姫川第二ダムより下流では余震域からは白馬村北方の小谷村姫川沿いに断層の連続が推定されるが,画像から顕著な断層トレースと推定されるものは認めにくかった.現地においても明瞭な地表地震断層は確認できなかった.
衛星干渉SARを用いて地表地震断層を検出する新たな手法を開発した.検出した地表地震断層と現地調査により確認された断層位置は一致しており手法の有用性が確認された.
この手法は観測から早期に作成することが可能で,地震発生直後において広域の地表地震断層の分布を把握する有用な手法となる.
本発表による干渉SAR の解析検討方法は特許出願中である(特願2016-175628).
本研究に用いたALOS-2 データは,ALOS-2 PI プロジェクト(PI No.1410)の下,JAXAよりALOS-2 データ提供を受けたものである.
筆者らは干渉SARによる干渉縞,低コヒーレンス値分布図,およびDEMデータによる傾斜量図を重ねることにより,地表地震断層を検出する方法を検討した(小俣ほか2016、三五ほか2016).
干渉縞がずれる位相の不連続と低コヒーレンス値を示す地点が一致する場合には地表地震断層の可能性が高い.低コヒーレンス値が連続するにも関わらず干渉縞に不連続が生じていない場合には,地表地震断層ではない地表変状の可能性が高い.その地点が傾斜地であれば地すべりや崩壊,平坦地であれば液状化等の地盤変状の可能性がある.
平成26年(2014年)11月22日長野県北部の地震(Mj6.7)において,筆者らは地震発生直後から現地調査を実施し,白馬村の姫川沿いに地表地震断層が出現していることを確認した(小俣ほか2015).本発表では,この時の地表地震断層の現地調査結果と、新たに実施した干渉SAR解析による干渉縞および低コヒーレンス図に地形表現図(傾斜量図)を重ねた図とを比較検討し,この干渉SAR解析の有効性を検証した.
JR白馬駅東方から信濃森上東方の城山にかけて連続する地表地震断層が干渉SAR解析図から判読できる.このトレースは松川を横断しているが,松川河床内にも断層変位を被る地形の連続が判読できる.また,白馬駅東方の大出付近では3条の低コヒーレンスの連続が認められた.現地調査では白馬駅より北側では比較的連続性の良い地表地震断層が確認された.大出付近においては東上がりの地表地震断層が3条確認された.
城山東側の水田は干渉せず低コヒーレンスが面的に表示されてしまい地表変状は検出できなかったが,現地調査において東北東―西南西方向の2条の地表地震断層が確認され,断層の間がバルジ状を呈していることが確認された.
白馬駅―飯森駅間においてJR大糸線と姫川間の水田では干渉縞の位相の不連続に一致する低コヒーレンス値の分布が断続的に認められる.現地調査では白馬駅南方の体育館南までは水田,耕作地に地表地震断層の連続が確認できたが,深空東方では顕著な地表地震断層は確認できなかった.
JR神城駅東方では飯田から三日市場に連続して幅を持つ低コヒーレンスの帯が確認される.現地調査では水田に撓曲変形が確認された.飯田においてトレンチ掘削調査が実施され横ずれ断層が確認されたが,その南側に位置する堀之内から三日市場にかけては,緩やかな水田の傾動などが確認されるが,地表地震断層の位置を特定することは非常に困難である.
なお,姫川第二ダムより下流では余震域からは白馬村北方の小谷村姫川沿いに断層の連続が推定されるが,画像から顕著な断層トレースと推定されるものは認めにくかった.現地においても明瞭な地表地震断層は確認できなかった.
衛星干渉SARを用いて地表地震断層を検出する新たな手法を開発した.検出した地表地震断層と現地調査により確認された断層位置は一致しており手法の有用性が確認された.
この手法は観測から早期に作成することが可能で,地震発生直後において広域の地表地震断層の分布を把握する有用な手法となる.
本発表による干渉SAR の解析検討方法は特許出願中である(特願2016-175628).
本研究に用いたALOS-2 データは,ALOS-2 PI プロジェクト(PI No.1410)の下,JAXAよりALOS-2 データ提供を受けたものである.