13:45 〜 14:00
[SSS14-01] 対数正規分布の標準値を用いた相似地震の長期的発生確率予測
キーワード:繰り返し地震、発生予測、対数正規分布、標準値、平均対数尤度、ROC曲線
1.はじめに
気象研究所では、中規模の繰り返し相似地震について、準リアルタイム的に発生状況を追跡し、相似地震が発現したときは、適宜、長期的発生確率の予測計算を実施し、確率予測手法の精度評価をおこなっている。しかし、中規模以上の相似地震を扱う場合、再来間隔が長いこともあり、非常に少ないデータで計算するケースが多々ある。先行調査で、分布関数にt 分布を用いた小標本論対数正規分布モデル(LN-SST)や、逆ガンマ事前分布を採用し、t 分布の分布関数からなるベイズ統計対数正規分布モデル(LN-Bayes)などについて、相似地震や疑似乱数で長期的発生確率予測の検証実験をおこない、データが非常に少ないときは、事前分布が予測精度向上に役立つことを定量的に確認した。一方で、データが非常に少ない場合、安定的な予測を行うために、地震本部の長期評価のように、一部のパラメータに標準値を用いることがある。そこで、ばらつきパラメータに、相似地震で求めた対数正規分布モデルの標準値σ0を採用し、対数正規分布の確率予測モデルで、相似地震の事後予測実験をおこなった。先行調査の結果と比較して、モデルの優劣などを調査した。
2.データと予測方法
東北大学作成の相似地震カタログから、Okada et al.(2012) が2006年から2010年の事前予測の実験用に編集したデータを再編して使用した。1993年から予測時点に5個以上の相似地震を含み、平均マグニチュードが2.75以上の166系列524予測を対象とした。予測時点に近い順から2個、3個、4個、5個、5個以上で地震を切り出し、それぞれ、発生間隔の対数の平均値を使用した。予測は、正規分布の分布関数を使い、分散には標準値σ0を用いた二つのモデルで、一つは、平均に発生間隔の対数の平均値をそのまま使用した対数正規分布Plug-inモデル(LN-NORM)で、もう一つは、小標本論に基づき、平均値の不確実性を考慮した値を平均に使用した小標本論対数正規分布Plug-inモデル(LN-SST-Pin)である。標準値σ0は、166系列の不偏分散の和に自由度の和の重みで加重平均し、平方根した値(σ0=0.581)を用いた。
3.予測成績
平均対数尤度(MLL;Mean log-likelihood)とROC曲線の指標を用い、予測期間内の相似地震の発現有無と比較して予測成績を求めた。MLLの結果について、先行調査のLN-Bayes、LN-SSTなどと比較した結果は図1のとおりである。計算に使用した発生間隔のデータが少なくなるにつれてどのモデルも成績は悪くなる。LN-SST-Pinに比べ、LN-NORMの成績は、データ2個以下になると悪化が急になる。LN-NORMとLN-SST-PinはLN-BayesやLN-SSTよりも成績は劣り、データ1個のときは、予測確率0.5の成績(MLL=-0.693)よりも下回る悪い成績である。ROC曲線の結果は図2のとおりである。この指標でもLN-NORMとLN-SST-PinはLN-BayesやLN-SSTよりも判別力が劣る。また、変動係数αに地震本部の長期評価が採用している標準値(α0=0.24)や、相似地震を使い各予測から地震5個切り出して求めた中央値(α0=0.367)や平均値(α0=0.52)を用いたBPT分布モデルの結果よりもやや劣る。
大会当日は、ブライアスコアの成績なども紹介予定である。
気象研究所では、中規模の繰り返し相似地震について、準リアルタイム的に発生状況を追跡し、相似地震が発現したときは、適宜、長期的発生確率の予測計算を実施し、確率予測手法の精度評価をおこなっている。しかし、中規模以上の相似地震を扱う場合、再来間隔が長いこともあり、非常に少ないデータで計算するケースが多々ある。先行調査で、分布関数にt 分布を用いた小標本論対数正規分布モデル(LN-SST)や、逆ガンマ事前分布を採用し、t 分布の分布関数からなるベイズ統計対数正規分布モデル(LN-Bayes)などについて、相似地震や疑似乱数で長期的発生確率予測の検証実験をおこない、データが非常に少ないときは、事前分布が予測精度向上に役立つことを定量的に確認した。一方で、データが非常に少ない場合、安定的な予測を行うために、地震本部の長期評価のように、一部のパラメータに標準値を用いることがある。そこで、ばらつきパラメータに、相似地震で求めた対数正規分布モデルの標準値σ0を採用し、対数正規分布の確率予測モデルで、相似地震の事後予測実験をおこなった。先行調査の結果と比較して、モデルの優劣などを調査した。
2.データと予測方法
東北大学作成の相似地震カタログから、Okada et al.(2012) が2006年から2010年の事前予測の実験用に編集したデータを再編して使用した。1993年から予測時点に5個以上の相似地震を含み、平均マグニチュードが2.75以上の166系列524予測を対象とした。予測時点に近い順から2個、3個、4個、5個、5個以上で地震を切り出し、それぞれ、発生間隔の対数の平均値を使用した。予測は、正規分布の分布関数を使い、分散には標準値σ0を用いた二つのモデルで、一つは、平均に発生間隔の対数の平均値をそのまま使用した対数正規分布Plug-inモデル(LN-NORM)で、もう一つは、小標本論に基づき、平均値の不確実性を考慮した値を平均に使用した小標本論対数正規分布Plug-inモデル(LN-SST-Pin)である。標準値σ0は、166系列の不偏分散の和に自由度の和の重みで加重平均し、平方根した値(σ0=0.581)を用いた。
3.予測成績
平均対数尤度(MLL;Mean log-likelihood)とROC曲線の指標を用い、予測期間内の相似地震の発現有無と比較して予測成績を求めた。MLLの結果について、先行調査のLN-Bayes、LN-SSTなどと比較した結果は図1のとおりである。計算に使用した発生間隔のデータが少なくなるにつれてどのモデルも成績は悪くなる。LN-SST-Pinに比べ、LN-NORMの成績は、データ2個以下になると悪化が急になる。LN-NORMとLN-SST-PinはLN-BayesやLN-SSTよりも成績は劣り、データ1個のときは、予測確率0.5の成績(MLL=-0.693)よりも下回る悪い成績である。ROC曲線の結果は図2のとおりである。この指標でもLN-NORMとLN-SST-PinはLN-BayesやLN-SSTよりも判別力が劣る。また、変動係数αに地震本部の長期評価が採用している標準値(α0=0.24)や、相似地震を使い各予測から地震5個切り出して求めた中央値(α0=0.367)や平均値(α0=0.52)を用いたBPT分布モデルの結果よりもやや劣る。
大会当日は、ブライアスコアの成績なども紹介予定である。