JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS17] [JJ] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:松澤 孝紀(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)、飯沼 卓史(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、谷川 亘(国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所)、向吉 秀樹(島根大学大学院総合理工学研究科地球資源環境学領域)

[SSS17-P19] スイスMont-Terri地下研究施設における主断層ガウジの摩擦特性と微細構造

*青木 和弘1瀬下 和芳1酒井 亨2亀高 正男2嶋本 利彦3Ma Shengli3Yao Lu3 (1.日本原子力研究開発機構、2.ダイヤコンサルタント、3.Institute of Geology, China Earthquake Administration)

キーワード:摩擦試験、モンテリ地下研究施設、摩擦係数、反射電子像

スイスMont Terri地下研究施設の主断層ガウジのコアの摩擦試験を行い、実験後の試料の微細構造を観察した。試料は地表から約260m深度の地下坑道から掘削した垂直試錐孔BSF1号孔の深度47.2mと37.3mおよびBSF-2号孔の深度36.7m, 37.1m, 41.4m, 44.6mの合計6個のコアである。試験機は、中国地震局地質研究所が所有する回転剪断式低速・高速摩擦試験機を用いた。試験条件は、室温下で無水及び含水条件下で、垂直応力は3.95~4.0MPa,すべり速度は0.2 microns/s~2.1mm/sとし、ホスト試料として岩石に近い挙動を示すTiAlV合金製ピストンを用い、低速・中速摩擦試験を実施して摩擦の速度依存性などを求めた。なお、テフロン・スリーブを用いてガウジを封入したので、実験は排水条件下で行った。試験後の試料を回収して、日本電子製 JCM-6000を用いてSEM(Scanning electron microscope) 観察を行った。

主な調査結果は次のとおりである。
1) 試験に用いた泥岩の定常およびほぼ定常摩擦係数は、含水条件下では0.1から0.3、無水条件下では0.5から0.7という値が得られた。無水条件下では含水条件下の約2倍の大きさである。
2) BFS-1号孔の深度37.3mの試料のみ含水で0.55から0.77、無水で0.45から0.78という摩擦係数を示し、含水と無水で差がなかった。この試料は鱗片状を呈する断層岩で、粘土含有量が33%以下で、他の試料(67から73%)と比較して特徴的に少ない。
3) 摩擦レジームとしては、すべての試料でわずかな速度強化ないし速度依存性のない低速度レジームと、明らかな速度強化で特徴づけられる中速度レジームとに分類された。
4) 変形したガウジは、回転ピストンと固定ピストン周辺で明瞭な条線を伴うスリッケンサイド表面をもつスリップゾーンが認められた。