JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT57] [EJ] 合成開口レーダー

2017年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 201A (国際会議場 2F)

コンビーナ:宮城 洋介(防災科学技術研究所)、小林 祥子(玉川大学)、山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、森下 遊(国土交通省国土地理院)、座長:宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:森下 遊(国土地理院)

10:45 〜 11:00

[STT57-01] 先進レーダ衛星による地球観測

★招待講演

*飛田 幹男1本岡 毅1 (1.国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

キーワード:先進レーダ衛星、合成開口レーダ、 Lバンド、だいち2号、PALSAR-3

1. はじめに
JERS-1(1992-1998)とALOS(2006-2011)に続いてLバンドSARセンサPALSAR-2を搭載して2014年5月に打ち上げられたALOS-2(だいち2号)は、災害状況把握の他、地殻変動や森林変化のマッピング等で活用されている。こうした地球観測を継続・強化するため、JAXAはALOS-2の後継衛星として「先進レーダ衛星」の打ち上げを2020年度に計画している。次節で、先進レーダ衛星ミッションを紹介する。

2. 先進レーダ衛星ミッションの概要
先進レーダミッションの主な目的・目標は:
(1) 地殻変動・地盤変動の監視(早期把握により、社会への注意喚起を目指す)
(2) 災害状況把握能力の向上(広域の高頻度観測)
(3) ALOS-2ミッションの森林観測、海氷監視、船舶動静把握等の継続的かつより高度な活用
(4) InSAR時系列解析によるインフラ変位モニタのような新分野での利用の実用化
である。
これらの目的のために、先進レーダ衛星には、ALOS-2と同等の分解能を維持しつつより広い観測幅を持つこと、及びALOS-2との干渉性を確保するためALOS-2と同一軌道とすることが要求される。そのため、LバンドSARセンサであるPALSAR-2の後継PALSAR-3では、新たにデジタルビームフォーミング(DBF)を採用し、3m分解能のStripmapモードの観測幅を200 km(ALOS-2では50 km)に飛躍的に拡大する設計となっている。この200 kmの観測幅は、世界全体を14日(ALOS-2の同モードでは56日)でカバーできるなど、観測頻度向上をもたらす。南海トラフ沿いの地震等による広域の災害に備え、ScanSARの観測幅は(ALOS-2の350 kmと490 kmから)700 kmまで広げる。取得データの容量増加に伴い、高容量データレコーダと高いデータ伝送速度を持ったダウンリンク設備を準備している。先進レーダ衛星の主な使用をTable 1に示す。

Table 1. Characteristics of the ALOS-2 follow-on mission (ALOS-4)

1) Orbit : Same orbit as ALOS-2,
Sun-synchronous sub-recurrent orbit
Altitude 628 km
Inclination angle 97.9 degree
Local sun time 12:00 ± 15 min. at descending
Revisit: 14 day
Orbit control: within ±500 m from the reference orbit
2) Lifetime : 7 years
3) Satellite Mass: Approx. 3 tons
4) Duty Ratio : maximum 50% (approx. 50 min.)
5) Data Recorder : 1 TByte
6) Downlink : Ka-band (16QAM): 3.6/1.8 Gbps
Optical link (date relay): 1.8 Gbps
7) Launch : JFY 2020, H3 launch vehicle
8) Mission Instruments : PALSAR-3 (Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar-3),
SPAISE3 (SPace based AIS Experiment 3)

先進レーダのミッション・技術・仕様に関する情報は次のURLにある:
http://www.satnavi.jaxa.jp/project/senshin_radar/