14:30 〜 14:45
[STT59-03] レーザ干渉計の一次校正による広帯域地震計の周波数特性評価
キーワード:一次校正、レーザ干渉計、広帯域地震計、周波数特性
広帯域地震計は、測定可能な周波数範囲が広く、近郊および遠く離れた地震波の計測に用いられ、震源メカニズムの解析に用いられる。広帯域地震計はバンドパス特性をもっており、低周波数領域では0.01 Hzもしくはそれ以下の低域カットオフ周波数をもつため、その周波数特性を評価するためには、低周波数で精密に振動する加振器およびその測定系を必要とする。そのため、産総研が保有する低周波振動校正装置を用いて、広帯域地震計の評価を行った。
本低周波振動校正装置は、振動加振器とレーザ干渉光計測システムで構成されており、評価対象であるセンサを振動加振器で振動させて、レーザ干渉光計測システムでその振動変位を測定することで、ある周波数におけるセンサの感度と位相遅れを算出する。振動加振器は特注で開発されたエアベアリング式の電動型である。0.4 mのストローク長をもち、加振可能な最大積載量は30 kg弱である。一方、レーザ干渉光計測システムは、安定化He-Neレーザ光源(波長:632.8 nm)を搭載した2位相検出型ホモダインレーザ干渉計を装備しており、振動変位に応じた、互いに90度位相の異なる2つの干渉信号を検出する。それら干渉信号はNI PXI 5922でサンプリング周波数10 MHzによってデジタル信号として記録され、信号処理プログラム内のアークタンジェントと位相展開によって、半波長あたり2pで規格化された位相角が得られ、振動変位を算出する。同時に、広帯域地震計からも速度の電圧信号をPXI 4462によってサンプリング周波数200 kHzで24 bitの高分解能で記録する。これら両者の波形に正弦波近似を行い、振動変位の変位振幅から速度振幅を算出した後に、速度振幅と電圧振幅の比から地震計の感度を求める。さらに、正弦波近似された両者の初期位相から、地震計の位相遅れも計算される。このように、長さの基準であるレーザ干渉計を用いて、加速度センサの単位加速度(入力)あたりの電気量(出力)を求めることを一次校正と呼び、ISO 16063-11で規定される。
国家標準研究機関である産総研は、加速度標準を産業界へ供給するために、低周波振動校正装置の測定の信頼性や国際同等性、およびそのトレーサビリティを確保する責務をもっている。従って、当該地震計の校正においても、速度は長さと時間の組立量であり、出力信号は電気量であることから、それらの量も国家標準にトレーサブルになっている。長さの基準はCIPM勧告に基づいて、1.5×10-6のHe-Neレーザ波長の安定性が保証されており、時間の基準はJCSS校正されたルビジウムタイムベースによって確保されている。電気の基準もJCSS校正された直流電圧発生器を用いてPXI 4622を自己校正することで、そのトレーサビリティを確保している。測定の信頼性および国際同等性については、国家標準研究機関が技能の同等性を評価し合う低周波振動国際比較(CCAUV.V-K3)において、0.15%という世界最高の不確かさで国際同等性を担保している。
広帯域地震計の周波数特性に関する情報は、製造メーカによる試験成績書に記載されたカットオフ周波数もしくはpole・zeroのテーブルによって与えられている。その情報を使用して、地震波形の観測データを補正して解析することから、その周波数特性の信頼性は非常に重要であるが、その精度や安定性について報告された例はほとんどない。本研究では、低周波振動校正装置を用いて、Guralp製CMG-3T(広帯域地震計)の周波数特性を0.01 Hzから一次校正して、メーカによる試験成績書との整合性について検証したので、その結果について報告する。
本低周波振動校正装置は、振動加振器とレーザ干渉光計測システムで構成されており、評価対象であるセンサを振動加振器で振動させて、レーザ干渉光計測システムでその振動変位を測定することで、ある周波数におけるセンサの感度と位相遅れを算出する。振動加振器は特注で開発されたエアベアリング式の電動型である。0.4 mのストローク長をもち、加振可能な最大積載量は30 kg弱である。一方、レーザ干渉光計測システムは、安定化He-Neレーザ光源(波長:632.8 nm)を搭載した2位相検出型ホモダインレーザ干渉計を装備しており、振動変位に応じた、互いに90度位相の異なる2つの干渉信号を検出する。それら干渉信号はNI PXI 5922でサンプリング周波数10 MHzによってデジタル信号として記録され、信号処理プログラム内のアークタンジェントと位相展開によって、半波長あたり2pで規格化された位相角が得られ、振動変位を算出する。同時に、広帯域地震計からも速度の電圧信号をPXI 4462によってサンプリング周波数200 kHzで24 bitの高分解能で記録する。これら両者の波形に正弦波近似を行い、振動変位の変位振幅から速度振幅を算出した後に、速度振幅と電圧振幅の比から地震計の感度を求める。さらに、正弦波近似された両者の初期位相から、地震計の位相遅れも計算される。このように、長さの基準であるレーザ干渉計を用いて、加速度センサの単位加速度(入力)あたりの電気量(出力)を求めることを一次校正と呼び、ISO 16063-11で規定される。
国家標準研究機関である産総研は、加速度標準を産業界へ供給するために、低周波振動校正装置の測定の信頼性や国際同等性、およびそのトレーサビリティを確保する責務をもっている。従って、当該地震計の校正においても、速度は長さと時間の組立量であり、出力信号は電気量であることから、それらの量も国家標準にトレーサブルになっている。長さの基準はCIPM勧告に基づいて、1.5×10-6のHe-Neレーザ波長の安定性が保証されており、時間の基準はJCSS校正されたルビジウムタイムベースによって確保されている。電気の基準もJCSS校正された直流電圧発生器を用いてPXI 4622を自己校正することで、そのトレーサビリティを確保している。測定の信頼性および国際同等性については、国家標準研究機関が技能の同等性を評価し合う低周波振動国際比較(CCAUV.V-K3)において、0.15%という世界最高の不確かさで国際同等性を担保している。
広帯域地震計の周波数特性に関する情報は、製造メーカによる試験成績書に記載されたカットオフ周波数もしくはpole・zeroのテーブルによって与えられている。その情報を使用して、地震波形の観測データを補正して解析することから、その周波数特性の信頼性は非常に重要であるが、その精度や安定性について報告された例はほとんどない。本研究では、低周波振動校正装置を用いて、Guralp製CMG-3T(広帯域地震計)の周波数特性を0.01 Hzから一次校正して、メーカによる試験成績書との整合性について検証したので、その結果について報告する。