[STT59-P06] 海底広域研究船「かいめい」による伊豆小笠原前弧海山での2次元反射法地震探査
キーワード:反射法地震探査、空間エイリアシング、伊豆小笠原前弧
海底広域研究船「かいめい」(国際総トン数5747トン)は2016年に竣工した海洋研究開発機構(JAMSTEC)で最も新しい調査船である。「かいめい」は、地震津波研究・海底資源研究・大気海洋研究などの海洋観測に対応した多目的船であり、その中でも特に大きな特徴の1つが、4タイプの地震探査(2次元反射法地震探査・3次元反射法地震探査・高解像度3次元反射法地震探査・海底地震計を用いた地震探査)に対応した仕様であることである(海洋研究開発機構, 2016)。その地震探査システムの海上公試の一環として、JAMSTECと三菱重工は2017年1月に伊豆小笠原前弧域で2次元反射法地震探査を実施した。試験測線は、伊豆小笠原海嶺の西側の海溝陸側斜面に点在している鳥島海山と鳥須海山を南北に横切っている。加えて、測線近傍ではODP(Ocean Drilling Program)による掘削研究(Fryer et al., 1990)や海底地震計を用いた地殻構造研究(Kamimura et al., 2002)や「しんかい6500」による調査(藤岡・他, 1995)などの観測研究が実施されており、これの海山は蛇紋岩海山として形成されていると見られている。したがって、今回の地震探査がこれらの蛇紋岩海山の形成に関連する内部構造を研究する上で貴重なデータとなる可能性がある。
この探査の主なデータ取得仕様は、発震間隔50 m、エアガンアレイ総容量最大10,600 cu.in.(約173.7リットル)、エアガン動作圧力2000 psi(約14 MPa)、エアガン曳航深度10m、受振点間隔3.125 m、ストリーマーケーブル曳航深度12 m、ストリーマーケーブルのチャンネル数1920、サンプリング間隔2 ms、記録長は13秒である。通常実施されている反射法地震探査と比較すると、受振点間隔が1/2~1/4程度狭く、CMP(Common mid point)間隔も狭く設定できる。そのため、品質の良いデータが取得できた場合、空間エイリアシングが相対的に抑制され、マイグレーションや速度フィルタなど空間方向の波形処理は非常に効果的に作用することが期待される。また、エアガンアレイは4列で計44台のエアガンから構成されたtuned arrayであり、総容量的にはこれまでJAMSTECが地震探査で使用してきた「かいれい」の約1.35倍となる。
本発表では、「かいめい」の地震探査システムの概要を紹介すると共に、伊豆小笠原前弧海山付近で取得された反射法地震探査データについて報告する。
謝辞:「かいめい」海上公試を実施した三菱重工業株式会社と海洋研究開発機構海洋工学センターの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
この探査の主なデータ取得仕様は、発震間隔50 m、エアガンアレイ総容量最大10,600 cu.in.(約173.7リットル)、エアガン動作圧力2000 psi(約14 MPa)、エアガン曳航深度10m、受振点間隔3.125 m、ストリーマーケーブル曳航深度12 m、ストリーマーケーブルのチャンネル数1920、サンプリング間隔2 ms、記録長は13秒である。通常実施されている反射法地震探査と比較すると、受振点間隔が1/2~1/4程度狭く、CMP(Common mid point)間隔も狭く設定できる。そのため、品質の良いデータが取得できた場合、空間エイリアシングが相対的に抑制され、マイグレーションや速度フィルタなど空間方向の波形処理は非常に効果的に作用することが期待される。また、エアガンアレイは4列で計44台のエアガンから構成されたtuned arrayであり、総容量的にはこれまでJAMSTECが地震探査で使用してきた「かいれい」の約1.35倍となる。
本発表では、「かいめい」の地震探査システムの概要を紹介すると共に、伊豆小笠原前弧海山付近で取得された反射法地震探査データについて報告する。
謝辞:「かいめい」海上公試を実施した三菱重工業株式会社と海洋研究開発機構海洋工学センターの関係者の皆様に深く感謝申し上げます。