JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT60] [JJ] ルミネッセンス・ESR測定の年代学・地球惑星科学への貢献

2017年5月24日(水) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:伊藤 一充(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、豊田 新(岡山理科大学理学部応用物理学科)、近藤 玲介(皇學館大学教育開発センター)、杉崎 彩子(産業技術総合研究所)

[STT60-P08] ESRによる現河床堆積物に含まれる起源岩の混合比の推定

*島田 愛子1高田 将志2豊田 新3 (1.(株)JEOL RESONANCE、2.奈良女子大学、3.岡山理科大学)

キーワード:電子スピン共鳴、石英、堆積物の起源、堆積物の混合比、現河床堆積物

平野や台地は、地殻・地盤運動や海面変化の影響を受けており、主に河川の土砂の運搬による堆積作用によって形成される。河川は周辺の岩石や堆積物などを巻き込んだ砕屑物を堆積させるため、地形を形成する堆積物の供給起源が複数存在する可能性がある。堆積物の供給起源地を推定することができれば、地形の浸食過程、河川争奪や地殻変動など地形学・地質学的過程の解明のための重要な情報を得られることが期待される。
近年、電子スピン共鳴(ESR)法を用いて堆積物の供給起源を検討する研究がなされている。例えば、風成塵中の石英粒子のE1’中心信号は、その供給起源地を推定する指標として用いられている[1] - [3]。我々はこれまでの研究により、異なる起源の火成岩に含まれる石英粒子のE1’中心信号だけでなく、Al、Ti-Li信号も利用することで、それらの特性の違いから、堆積物の供給起源地を推定できる可能性があることを示した[4]。さらに同様の手法を発展させることによって、現河床堆積物とその起源と考えられる岩石中に含まれる石英粒子のAl、Ti-Li中心信号を用いて、現河床堆積物の混合比を検討した結果を報告している[5]。本発表では、現河床堆積物とその起源の可能性のある岩石や堆積物中に含まれる石英粒子の複数のESR信号(Al、Ti-Li、E1’中心信号)を利用した現河床堆積物の混合比の推定について報告する。

Reference:
[1] Naruse, T., Ono, Y., Hirakawa, K., Okashita, M., Ikeya, M., 1997. Source areas of eolian dust quartz in East Asia: a tentative reconstruction of prevailing winds in isotope stage 2 using electron spin resonance. Geogr. Rev. Jpn., 70A-1, 15–27.
[2] Toyoda, S., Naruse, T., 2002. Eolian Dust from Asia Deserts to Japanese Islands since the last Glacial Maximum: the Basis for the ESR Method, J. Geomorph. Union., 23-5, 811-820.
[3] Nagashima, K., Tada, R., Tani, A., Toyoda, S., Sun, Y., Isozaki, Y., 2007. Contribution of aeolian dust in Japan Sea sediments estimated from ESR signal intensity and crystallinity of quartz. Geochemistry, Geophysics, Geosystems 8, Q02Q04, DOI 10.1029/2006GC001364.
[4] Shimada, A., Takada, M., Toyoda, S., 2013. Characteristics of ESR signals and TLCLs of quartz included in various source rocks and sediments in Japan: a clue to sediment provenance. Geochronometria, 40(4), 334-340, DOI 10.2478/s13386-013-0111-z.
[5] Shimada, A., Takada, M., Toyoda, S., 2016. Electron spin resonance signals of quartz in present-day river bed sediments and possible source rocks in the Kizu River basin, western Japan. Geochronometria, in press.