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[SVC47-09] 西之島周辺における長期海底地震観測
キーワード:西之島火山、長期観測型海底地震計、西之島火山活動の時間変化
伊豆小笠原に位置する西之島は、1973年に噴火し新島が生成されて以来、2013年11月に噴火活動が観測された。その後、噴火活動が続き、島の面積が拡大した。このような遠方の無人島では、火山活動の推移を把握することが難しい。そこで、我々は、噴火活動が続いていた2015年2月に、長期観測型海底地震計(LT-OBS)を用いた観測を開始した。使用したLT-OBSは、固有周波数1Hz速度型3成分地震計を搭載し、1年程度連続記録を得ることができる。設置には、海洋研究開発機構「かいれい」を用い、西之島中央火口丘から約8kmの水深1,400mほどの4地点、約13km地点の計5台のLT-OBSを設置した。設置したLT-OBSは、2015年10月に,気象庁「啓風丸」によって、回収すると共に、観測継続のために、5台のLT-OBSを再度設置した。この設置では、噴火口から約5kmの円周上に5台を設置した。設置点の水深1,000mほどである。2015年10月に設置したLT-OBSは、2016年5月に海上保安庁海洋情報部「昭洋」により、回収された。また、この航海で、5台のLT-OBSをさらに島に近い点に設置した。2016年10月には、海洋研究開発機構「新青丸」により、5台のLT-OBSを回収すると共に、3台のLT-OBSを観測継続のために、再設置した。ここでは、これまでに取得されているLT-OBSの記録を用いて、得られた西之島の地震活動の推移について報告する。
LT-OBSには、2015年2月の観測開始から、数Hzの短周期の波に始まり、数十秒後に1Hz以下の大振幅の波が到着する特徴的な波群が多数記録されていた。この波群では、4-8Hzの帯域が最もS/N比が良く、この帯域での波群の継続時間は、20-30秒であり、長くても1分以下である。5つの観測点の波形を4 - 8 Hzの帯域で比較すると、西之島から約8kmのほぼ等距離に配置した4観測点では、到達時間も振幅もほぼ同じであるが、約13 km離れた1観測点では,走時が顕著な遅れが見られ、振幅も小さくなる。また,これらの波群の走時を用いた暫定的な震源決定結果では,震央は西之島付近と推定された。2015年2月にLT-OBSを設置した際,観測船「かいれい」船上において,空振と可視画像データを取得し、西之島中央火口丘より黒い噴煙が放出されると同時に、空振が発生することがわかった。画像と,空振データ(1-7 Hz),および,映像観測時に設置されていたLT-OBSの記録(上下動、4-8 Hz)を比較すると4-8Hzの波群は,噴煙の放出と同期しているようにみえる。従ってLT-OBSの記録に見られる波群は、一連の噴煙放出に対応していると考えられる。
海底地震計が3台以上設置されている期間を解析対象期間として、STA/LTA法により、 噴煙の放出と同期していると考えられる波群の発生を求めた。解析にあたって、4-8 Hz の帯域のデータを用い、STAウィンドウ長を2秒、LTAウィンドウ長を40秒、STA/LTA閾値を1.5、1トリガーあたりONとなる長さを3秒、一度トリガーがOFFとなって再トリガーまでのホールド時間を4秒とした。3観測点以上で同時にトリガーされていることが、イベントとしてカウントする判定条件とした。トリガーが連続してONとなっているひと続きを1イベントとする。2月28日10時から10月3日13時の間の第一期観測期間中に363,367個のイベントが検出された。第二期観測期間の2015年10月4日1時から、2016年5月5日8時の間には、27,554のイベントが検出された。ただし、観測網が変更されたことを考慮して、STA/LTA閾値を2.0とした。その結果、観測を開始した2015年2月から6月までは、1日あたりの検出イベント数が1,800程度で推移するが、7/15頃から,1日あたりの個数は急速減少し、1個のイベントの継続時間が長くなる。10月下旬には、1日あたり300個以下になり、11月に入ると一次数が増えるが、11月の下旬には、検出イベント数は、数十個以下となった。これは、2015年7月下旬から表面活動が減少し、2015年11月中旬にほぼ終了したことを示していると考えられる。
LT-OBSには、2015年2月の観測開始から、数Hzの短周期の波に始まり、数十秒後に1Hz以下の大振幅の波が到着する特徴的な波群が多数記録されていた。この波群では、4-8Hzの帯域が最もS/N比が良く、この帯域での波群の継続時間は、20-30秒であり、長くても1分以下である。5つの観測点の波形を4 - 8 Hzの帯域で比較すると、西之島から約8kmのほぼ等距離に配置した4観測点では、到達時間も振幅もほぼ同じであるが、約13 km離れた1観測点では,走時が顕著な遅れが見られ、振幅も小さくなる。また,これらの波群の走時を用いた暫定的な震源決定結果では,震央は西之島付近と推定された。2015年2月にLT-OBSを設置した際,観測船「かいれい」船上において,空振と可視画像データを取得し、西之島中央火口丘より黒い噴煙が放出されると同時に、空振が発生することがわかった。画像と,空振データ(1-7 Hz),および,映像観測時に設置されていたLT-OBSの記録(上下動、4-8 Hz)を比較すると4-8Hzの波群は,噴煙の放出と同期しているようにみえる。従ってLT-OBSの記録に見られる波群は、一連の噴煙放出に対応していると考えられる。
海底地震計が3台以上設置されている期間を解析対象期間として、STA/LTA法により、 噴煙の放出と同期していると考えられる波群の発生を求めた。解析にあたって、4-8 Hz の帯域のデータを用い、STAウィンドウ長を2秒、LTAウィンドウ長を40秒、STA/LTA閾値を1.5、1トリガーあたりONとなる長さを3秒、一度トリガーがOFFとなって再トリガーまでのホールド時間を4秒とした。3観測点以上で同時にトリガーされていることが、イベントとしてカウントする判定条件とした。トリガーが連続してONとなっているひと続きを1イベントとする。2月28日10時から10月3日13時の間の第一期観測期間中に363,367個のイベントが検出された。第二期観測期間の2015年10月4日1時から、2016年5月5日8時の間には、27,554のイベントが検出された。ただし、観測網が変更されたことを考慮して、STA/LTA閾値を2.0とした。その結果、観測を開始した2015年2月から6月までは、1日あたりの検出イベント数が1,800程度で推移するが、7/15頃から,1日あたりの個数は急速減少し、1個のイベントの継続時間が長くなる。10月下旬には、1日あたり300個以下になり、11月に入ると一次数が増えるが、11月の下旬には、検出イベント数は、数十個以下となった。これは、2015年7月下旬から表面活動が減少し、2015年11月中旬にほぼ終了したことを示していると考えられる。