JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] [JJ] 活動的火山

2017年5月22日(月) 13:45 〜 15:15 コンベンションホールA (国際会議場 2F)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、青木 陽介(東京大学地震研究所)、座長:寺田 暁彦(東京工業大学火山流体研究センター)、座長:神田 径(東京工業大学理学院火山流体研究センター)

15:00 〜 15:15

[SVC47-18] 焼岳での電磁気観測 -広帯域MT観測および磁気探査-

*吉村 令慧1橋本 武志2宮崎 真大1中川 潤1加茂 正人1菅野 倖大朗3高田 将仁4三浦 勉1中本 幹大1荒上 夏奈1山崎 健一1大見 士朗1井口 正人1 (1.京都大学防災研究所、2.北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター、3.北海道大学大学院理学研究院、4.北海道大学理学部)

キーワード:焼岳、地磁気地電流法、地上磁気探査

岐阜・長野県境に位置する焼岳火山は、重点的な観測研究の対象となったが、その火山活動を監視・モニタリングするためには、地下の構造情報は必要不可欠である。しかしながら、山頂付近における物理探査による構造推定の試みは非常に少ない。そこで我々は、広帯域MT観測による比抵抗構造探査を計画・実施した。通常のMT観測では、磁場3成分・電場2成分の電磁場データの収録を行うが、焼岳では器材の運搬が制限されるため、山麓の3箇所でのみ磁場3成分を収録し、その他の観測点では電場2成分測定の調査形態をとった。
 観測は2016年8月31日より開始し、計12点で順次器材の設置を行い、各観測点で少なくとも5日間の電磁場データを収録した(12点中1点で欠測)。器材は、ドイツMetronix社製ADU07/07eならびに、NTシステムデザイン社製ELOG1Kを使用し、32Hzサンプリングの連続収録および1024Hzサンプリングの夜間4時間/1日の限定収録を行っている。
 MT応答の推定には、地熱技術開発(株)が山形県において運用している連続磁場観測データを参照信号とするリモートリファレンス処理を施した。電場のみの観測となった8点の応答推定には、焼岳北麓のYKD002地点の磁場を用いている。噴気地帯近傍の2観測点を除き、32Hz~700secの帯域で比較的良好な応答が求まった。推定された応答のうちTMモードのみを使用し、Ogawa and Uchida (1996)のコードを用いた南北断面での2次元インバージョンを行った。予察的な結果として、頂上のやや北方を中心とするキャップ状の低抵抗領域が検出された。この特徴的構造の中央部は、直近の水蒸気噴火を発生させた中尾峠爆裂火口の直下に相当する。
 広帯域MT観測に加え、カナダGEM Systems社製GSM-19オーバーハウザー磁力計を使用した地上磁気探査も2016年11月1日に実施した。中尾登山口から頂上および焼岳小屋周辺を経由し中ノ湯登山口に至る測線である。得られた磁気異常データを説明するために、MT探査により検出された低比抵抗位置に低磁化領域の存在が必要であることがわかった。