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[SVC47-26] 御嶽山2014年噴火後の浅部収縮に対して与えられる測地学的制約
キーワード:御嶽山、水蒸気噴火、干渉SAR、地殻変動
御嶽山では2014年水蒸気噴火以降、火口列を有する地獄谷を中心に、火山浅部由来と考えられる数kmスケールの局所的な山体収縮が継続していることがPALSAR-2データのInSAR解析により明らかになっている(成田・村上, JPGU 2016)。この変動を捉えたPALSAR-2データは、2014年8月(噴火の1ヶ月前)から2016年11月までの2年以上に渡って蓄積している。非噴火時における火山浅部では、膨張性地殻変動や消磁など熱水系の活発化を示唆する多様な現象が発生することが報告されている(橋本・田中, 火山学会2016)。御嶽山においても、2014年噴火後から浅部で収縮が始まったことから、噴火前には流体蓄積が進行し、またそれに伴う膨張が進行していたと考えられる。こうした背景を受けて、本研究では、噴火後に得られたPALSAR-2データの詳細なInSAR解析により、現在進行している浅部収縮のメカニズムおよび噴火前の浅部熱水系の状態に対して何らかの制約を与えることを目的としている。
InSAR解析に用いたデータは、噴火の約1ヶ月前にあたる2014年8月18日から2016年11月11日までの約2年間のPALSAR-2データである。これらのInSAR解析により得られた干渉画像には、衛星の視線方向が東・西向きのペアが多数ある。観測方向によらず、噴火後同士のペアでは、収縮性の地殻変動を示唆するような、衛星視線方向から遠ざかるセンスの位相変化が見られる。また、その空間パターンには2年間で大きな変化は見られないため、同一の収縮源が収縮を続いていると考えられる。変動速度に関しては、観測方向によってはやや減衰しているようにも見えるが、おおむね一定に見える。半無限弾性体中の球状圧力源を仮定したインバージョンにより、この収縮源の力源深さと2年間における積算の体積変化量を求めると、それぞれ400−700m、6−7×105m3であった。さらに、有限要素法を用いて、地形を考慮し、かつ圧力源形状もクラック状〜球状〜楕円体状などの様々な形状を仮定してモデルフィッティングを行ったが、半無限インバージョンで得られた深さや体積変化量とは大きな解離は見られなかった。この際、変動の空間パターンを良く説明できるモデルは見つからなかったが、これはソース形状の複雑性や岩石物性の不均質など様々な要因によると考えられる。
噴火後に継続する火口からの噴気放水量は、噴火後2ヶ月間で100万トンのオーダーである(平成27年1月予知連資料)。一方、同期間における浅部収縮源の体積変化量から期待される放水量は1-10万トンのオーダーである。よって、噴火直後2ヶ月間に限っては、浅部収縮源から流体を放出するだけでは、観測値を全く説明できないため、この期間ではより深部からの供給がメインであったと考えられる。噴火2ヶ月後以降の放水量データはないため、これ以降の収縮・放水メカニズムを検討するためには、plume rise法などを用いて噴気放水量を見積もり、地殻変動量との定量的な比較をすることが必要である。
また、現時点では浅部収縮源に最低でも105m3の後半の体積が必要であるため、これだけの流体が過去に蓄積する必要がある。2014年噴火後の収縮に伴う地殻変動は、御嶽山を挟む落合−田原GNSS基線により捉えられている。よって、過去のいずれかの期間にこの流体蓄積が進行したなら、このGNSS基線長に膨張性の変化として捉えられているはずである。流体蓄積の開始をトリガーした可能性のある直近のイベントとして、2007年ダイク貫入イベントを考えると、2007-2014年の7年間で前述したGNSS基線に3cmの伸張が観測されるはずだが、そのような変化は見られない。よって、2014年噴火後に検出された浅部収縮源には、2007年以前にすでに流体蓄積がほぼ完了していたと考えられる。
InSAR解析に用いたデータは、噴火の約1ヶ月前にあたる2014年8月18日から2016年11月11日までの約2年間のPALSAR-2データである。これらのInSAR解析により得られた干渉画像には、衛星の視線方向が東・西向きのペアが多数ある。観測方向によらず、噴火後同士のペアでは、収縮性の地殻変動を示唆するような、衛星視線方向から遠ざかるセンスの位相変化が見られる。また、その空間パターンには2年間で大きな変化は見られないため、同一の収縮源が収縮を続いていると考えられる。変動速度に関しては、観測方向によってはやや減衰しているようにも見えるが、おおむね一定に見える。半無限弾性体中の球状圧力源を仮定したインバージョンにより、この収縮源の力源深さと2年間における積算の体積変化量を求めると、それぞれ400−700m、6−7×105m3であった。さらに、有限要素法を用いて、地形を考慮し、かつ圧力源形状もクラック状〜球状〜楕円体状などの様々な形状を仮定してモデルフィッティングを行ったが、半無限インバージョンで得られた深さや体積変化量とは大きな解離は見られなかった。この際、変動の空間パターンを良く説明できるモデルは見つからなかったが、これはソース形状の複雑性や岩石物性の不均質など様々な要因によると考えられる。
噴火後に継続する火口からの噴気放水量は、噴火後2ヶ月間で100万トンのオーダーである(平成27年1月予知連資料)。一方、同期間における浅部収縮源の体積変化量から期待される放水量は1-10万トンのオーダーである。よって、噴火直後2ヶ月間に限っては、浅部収縮源から流体を放出するだけでは、観測値を全く説明できないため、この期間ではより深部からの供給がメインであったと考えられる。噴火2ヶ月後以降の放水量データはないため、これ以降の収縮・放水メカニズムを検討するためには、plume rise法などを用いて噴気放水量を見積もり、地殻変動量との定量的な比較をすることが必要である。
また、現時点では浅部収縮源に最低でも105m3の後半の体積が必要であるため、これだけの流体が過去に蓄積する必要がある。2014年噴火後の収縮に伴う地殻変動は、御嶽山を挟む落合−田原GNSS基線により捉えられている。よって、過去のいずれかの期間にこの流体蓄積が進行したなら、このGNSS基線長に膨張性の変化として捉えられているはずである。流体蓄積の開始をトリガーした可能性のある直近のイベントとして、2007年ダイク貫入イベントを考えると、2007-2014年の7年間で前述したGNSS基線に3cmの伸張が観測されるはずだが、そのような変化は見られない。よって、2014年噴火後に検出された浅部収縮源には、2007年以前にすでに流体蓄積がほぼ完了していたと考えられる。