JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] [JJ] 活動的火山

2017年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 コンベンションホールA (国際会議場 2F)

コンビーナ:前田 裕太(名古屋大学)、青木 陽介(東京大学地震研究所)、座長:堀田 耕平(京都大学防災研究所)、座長:安藤 忍(気象研究所 地震津波研究部)

11:30 〜 11:45

[SVC47-28] ALOS−2/PALSAR-2干渉解析によるCampi Flegrei火山(イタリア)の地殻変動

*安藤 忍1 (1.気象研究所 地震津波研究部)

キーワード:ALOS-2/PALSAR-2、干渉SAR、Campi Flegrei caldera、地殻変動

イタリアのCampi Flegreiカルデラ火山は,世界で最も高い火山リスクを有する地域のひとつである.直近の噴火は,モンテヌオーボ山を形成した1538年で8日間噴火活動が続いた(VEI=3).それ以降,約500年にわたり噴火は発生していないが,GNSS解析やSAR衛星を用いた干渉解析により,たびたび膨張や収縮性の地殻変動が報告されている(例えば,Lundgren et al. (2001) やTroise et al. (2007)など).最近でもポッツオリ湾周辺において膨張性の地殻変動を示す各種データがいくつか報告されており,依然,活発な火山活動が継続していることを示唆している (Martino et al. (2013) やD’Auria et al. (2015)など).また,最近の報告では,地下のマグマが火山ガスを放出する臨界圧力に達している可能性があることを指摘している(Chiodini et al. (2016)).
2014年5月24日に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち2号(ALOS-2)」は,高分解能なLバンドSAR衛星であり,全球的に常時観測を行っている.我々は,2014年以降に撮像されたSARデータを使った干渉処理を行い,カンピフレグレイカルデラ火山の地殻変動を検出し, 地下の圧力源推定を試みた.その結果,2015年から2016年の両軌道からの差分干渉解析により約10cm程度の地盤隆起が検出され,海抜下約3.8kmに約4.6×106m3の球状圧力源を仮定することで,地盤変動が説明できることがわかった.さらに,2016年から2017年の差分干渉解析でも約6cm程度の衛星視線方向短縮の位相変化が検出され,地盤隆起が継続していることを示唆する結果が得られた.
本解析で用いたPALSAR-2データはPIXELで共有しているものであり,宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学地震研究所との共同研究契約によりJAXAから提供されたものである.PALSAR-2に関する原初データの所有権はJAXAにある.なお解析には,防災科学技術研究所の小澤拓氏により開発されたRINCを使用させていただいた.なお,干渉画像の処理過程においては,SRTM4.1を元にしたDEHMを使用し,地図の描画にはGMTを用いた.関係者各位におかれては,ここに記してお礼申し上げます.