[SVC47-P32] 火口付近を中心とした気象庁の火山観測体制の強化
キーワード:水蒸気噴火、傾斜計、広帯域地震計、可視・赤外カメラ
1.はじめに
2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火を受け、火山噴火予知連絡会「火山観測体制等に関する検討会」において活火山の観測体制強化のあり方が検討され、2014年11月に緊急提言が、2015年3月26日には最終報告が出された。それらを受け、気象庁では、火口付近での観測施設の整備や常時観測火山を追加するための観測施設の整備を行うとともに、水蒸気噴火の兆候をより早期に把握できる手法の開発に取り組むこととした。本発表では、気象庁が行った整備の概要やこれまで得られた観測データの一部について紹介する。
2.火口付近の観測施設の整備
水蒸気噴火の場合、一般的に噴火に先行する火山現象の規模が小さく、現象が見られる場所も火口付近に限られることが多い。気象庁では、全国48火山の火口付近において、(1)火口付近の熱や噴気の状態変化を捉えるための監視カメラ、(2)火山体内の火山ガスや熱水の流動等により発生する低周波地震・微動や地殻変動を捉えるための広帯域地震計・傾斜計を設置することとした。これらの火口付近の観測施設は、設置場所の標高が高く、強風や積雪等過酷な環境にさらされるものが多い。そのため、これらの施設について遠隔操作性・省電力性・耐雷性・耐風速性を高める工夫を行い、過酷な環境の中でも安定した運用が可能となるように努めている。
3.水蒸気噴火の兆候をより早期に把握できる手法の開発
過去の水蒸気噴火において、噴火に先行して、火山ガス成分の変化や地磁気の変化が捉えられたことを踏まえ、火山ガスや地磁気の観測装置を整備(火山ガスは4火山、地磁気は計画も含め6火山)についても観測を行い、データを蓄積し、水蒸気噴火の兆候を早期に把握する手法の開発に着手することとした。特に、火山ガスについては、気象庁が連続観測を実施するのは初めてであり、気象研究所、産業技術総合研究所の協力も得つつ、観測装置の整備にあたった。
4.得られた観測データの一例
これまでの観測により、御嶽山で2016年9月27日に火山性微動に伴う長周期振動およびわずかな傾斜変動が捉えられた。また、2016年10月8日の阿蘇山の噴火においては、熱映像監視カメラで噴火の瞬間を捉えることができた。今後、新たに設置した観測施設を活用しながら、より的確な火山活動評価ができるよう、解析技術などの高度化にも取り組んでいく必要がある。また、得られた観測データについては、今後、研究機関に対してもデータ公開を行うこととしており、様々な研究に活用されるとともに、その成果が気象庁の火山活動評価にフィードバックされることを期待する。
2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火を受け、火山噴火予知連絡会「火山観測体制等に関する検討会」において活火山の観測体制強化のあり方が検討され、2014年11月に緊急提言が、2015年3月26日には最終報告が出された。それらを受け、気象庁では、火口付近での観測施設の整備や常時観測火山を追加するための観測施設の整備を行うとともに、水蒸気噴火の兆候をより早期に把握できる手法の開発に取り組むこととした。本発表では、気象庁が行った整備の概要やこれまで得られた観測データの一部について紹介する。
2.火口付近の観測施設の整備
水蒸気噴火の場合、一般的に噴火に先行する火山現象の規模が小さく、現象が見られる場所も火口付近に限られることが多い。気象庁では、全国48火山の火口付近において、(1)火口付近の熱や噴気の状態変化を捉えるための監視カメラ、(2)火山体内の火山ガスや熱水の流動等により発生する低周波地震・微動や地殻変動を捉えるための広帯域地震計・傾斜計を設置することとした。これらの火口付近の観測施設は、設置場所の標高が高く、強風や積雪等過酷な環境にさらされるものが多い。そのため、これらの施設について遠隔操作性・省電力性・耐雷性・耐風速性を高める工夫を行い、過酷な環境の中でも安定した運用が可能となるように努めている。
3.水蒸気噴火の兆候をより早期に把握できる手法の開発
過去の水蒸気噴火において、噴火に先行して、火山ガス成分の変化や地磁気の変化が捉えられたことを踏まえ、火山ガスや地磁気の観測装置を整備(火山ガスは4火山、地磁気は計画も含め6火山)についても観測を行い、データを蓄積し、水蒸気噴火の兆候を早期に把握する手法の開発に着手することとした。特に、火山ガスについては、気象庁が連続観測を実施するのは初めてであり、気象研究所、産業技術総合研究所の協力も得つつ、観測装置の整備にあたった。
4.得られた観測データの一例
これまでの観測により、御嶽山で2016年9月27日に火山性微動に伴う長周期振動およびわずかな傾斜変動が捉えられた。また、2016年10月8日の阿蘇山の噴火においては、熱映像監視カメラで噴火の瞬間を捉えることができた。今後、新たに設置した観測施設を活用しながら、より的確な火山活動評価ができるよう、解析技術などの高度化にも取り組んでいく必要がある。また、得られた観測データについては、今後、研究機関に対してもデータ公開を行うこととしており、様々な研究に活用されるとともに、その成果が気象庁の火山活動評価にフィードバックされることを期待する。