[SVC47-P33] ALOS-2/PALSAR-2差分干渉解析による国内の活火山周辺における地殻変動(2014年度~2016年度)
キーワード:ALOS-2/PALSAR-2、干渉SAR、国内活火山
地殻変動による火山活動の監視は噴火の予兆を捉える有用な手段の一つである. 気象庁では, 活火山周辺に傾斜計や光波測距, GNSS等の観測機器を設置し, 地殻変動による火山活動の監視を行い, 地下でのマグマや熱水の移動や蓄積等の把握に努めている. しかし, これらの地上設置型の観測手法のみを用いる場合, 捉えることが可能な地殻変動は観測点での傾斜変動や観測点間の相対位置など点の情報に限定される. また,人里離れた山奥の火山で交通や電源、通信等のインフラが十分に整っていない火山や豪雪地帯の火山では観測機器の設置や維持管理が難しく,十分な観測体制がとられていないケースも存在する. さらに火山活動が活発化した場合には監視を強化する必要があるが、火山周辺に立ち入ることができない場合には観測機器も設置できない.このような状況で火山活動の監視を強化する手段の1つとして, 面的な地殻変動の把握が可能なSAR(Synthetic Aperture Rader,合成開口レーダー)の活用が有効である.
陸域観測技術衛星「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(PALSAR-2)は, 先代の「だいち1号(ALOS)」同様, 地表面の状態把握に優れたLバンド波長帯を有しており, 干渉性が高く面的な地殻変動観測に有効である. また, ALOS/PALSARよりも空間分解能が高く, 回帰日数も14日と格段に短くなり, 左右観測も可能となったことなどから, より多くの情報量を高頻度で得ることが可能になった. 気象庁及び気象研究所では, 国内の活火山周辺のALOS-2/PALSAR-2データを用いた干渉解析や強度画像比較を行い, それらの解析結果を火山活動評価に利用されるとともに, 噴火警報発表時の判断材料の1つとしても活用され, 重要な役割を果たしている(火山噴火予知連絡会衛星解析グループ, 2016). 本発表では, 気象庁及び気象研究所で実施した国内全ての活火山周辺におけるALOS-2/PALSAR-2差分干渉解析の長期ペア(2014年~2016年)の結果について紹介する. 本発表には、霧島山えびの高原(硫黄山)、御嶽山、九重山等で火山活動に伴う地殻変動、2016年10月阿蘇山噴火に伴う降灰によると考えられる非干渉領域を検出した結果等が含まれる。これらの結果は, 2014年~2015年の結果(安藤・他, 2016)と同様に, 火山噴火予知連絡会に報告され, 国内の火山活動の評価に大きく貢献している.
本解析で用いたPALSAR-2データは, 火山噴火予知連絡会が中心となって進めている防災利用実証実験(衛星解析グループ)に基づいて, 宇宙航空開発機構(JAXA)にて観測・提供されたものである. また, 一部のデータはPIXELで共有しているものであり, JAXAと東京大学地震研究所の共同研究契約によりJAXAから提供されたものである. PALSAR-2に関する原初データの所有権はJAXAにある. PALSAR-2の解析ソフトウェアは, 防災科学技術研究所の小澤拓氏により開発されたRINCを使用した. また, 処理の過程や結果の描画においては, SRTM 90m Ver4.1の数値地図を元にしたDEHM及び国土地理院の数値地図10mメッシュ(標高)を元にしたDEHMを使用し, 地図の描画にはGMTを使用した. ここに記して御礼申し上げます.
陸域観測技術衛星「だいち2号(ALOS-2)」に搭載された合成開口レーダー(PALSAR-2)は, 先代の「だいち1号(ALOS)」同様, 地表面の状態把握に優れたLバンド波長帯を有しており, 干渉性が高く面的な地殻変動観測に有効である. また, ALOS/PALSARよりも空間分解能が高く, 回帰日数も14日と格段に短くなり, 左右観測も可能となったことなどから, より多くの情報量を高頻度で得ることが可能になった. 気象庁及び気象研究所では, 国内の活火山周辺のALOS-2/PALSAR-2データを用いた干渉解析や強度画像比較を行い, それらの解析結果を火山活動評価に利用されるとともに, 噴火警報発表時の判断材料の1つとしても活用され, 重要な役割を果たしている(火山噴火予知連絡会衛星解析グループ, 2016). 本発表では, 気象庁及び気象研究所で実施した国内全ての活火山周辺におけるALOS-2/PALSAR-2差分干渉解析の長期ペア(2014年~2016年)の結果について紹介する. 本発表には、霧島山えびの高原(硫黄山)、御嶽山、九重山等で火山活動に伴う地殻変動、2016年10月阿蘇山噴火に伴う降灰によると考えられる非干渉領域を検出した結果等が含まれる。これらの結果は, 2014年~2015年の結果(安藤・他, 2016)と同様に, 火山噴火予知連絡会に報告され, 国内の火山活動の評価に大きく貢献している.
本解析で用いたPALSAR-2データは, 火山噴火予知連絡会が中心となって進めている防災利用実証実験(衛星解析グループ)に基づいて, 宇宙航空開発機構(JAXA)にて観測・提供されたものである. また, 一部のデータはPIXELで共有しているものであり, JAXAと東京大学地震研究所の共同研究契約によりJAXAから提供されたものである. PALSAR-2に関する原初データの所有権はJAXAにある. PALSAR-2の解析ソフトウェアは, 防災科学技術研究所の小澤拓氏により開発されたRINCを使用した. また, 処理の過程や結果の描画においては, SRTM 90m Ver4.1の数値地図を元にしたDEHM及び国土地理院の数値地図10mメッシュ(標高)を元にしたDEHMを使用し, 地図の描画にはGMTを使用した. ここに記して御礼申し上げます.