[SVC48-P12] 草津白根火山の2014年噴火未遂イベント時の熱水貫入を示唆する地磁気変化
キーワード:熱水系、草津白根山、熱水流動シミュレーション、地磁気変化
草津白根山では、2014年3月より地震活動が活発化し、顕著な地盤変動や火山ガス成分の変化も観測された。同年5月には、湯釜周辺で地下の岩石の消磁によると見られる地磁気全磁力の急激な変化が観測された。変化の大きさは最大1nT程度であったが、約3週間のうちに変化は終了し、その後2年近くの間、顕著な変化もないまま推移した。本研究では、この磁場変化を説明する火山体内の温度変動を、熱水流動シミュレーションを基に明らかにすることを試みた。
シミュレーションには、米国地質調査所のHYDROTHERM3.1.1を使用した。計算領域は高さ5km、半径5kmの円筒領域で、流体はこの中心に注入した。深さ100~400mには、比抵抗構造から推定されている粘土層を仮定して透水率を低く設定し、それ以外は一様構造とした。高温流体の急激な注入があった場合に、地表での平均的な放熱量と地磁気変化の大きさや時間スケールを説明するように浸透率などのパラメータを調整した。熱水と岩石は平衡状態にあると仮定し、温度場を磁化に換算する際に用いた岩石の熱消磁特性は、山崎・他(1992)により示されている山頂付近で採取されたサンプルの平均値を補間して用いた。
高温流体の地下浅部への注入に伴い、地磁気の変化が得られた。磁場変化は、流体の注入開始とともに発生し、注入を停止すると磁場変化も止まり、その後100日後でもほとんど変化していない。温度の分布を見ると、100日後でも温度分布にほとんど変化はなく、粘土層下での高温が維持されていた。パラメータを変化させて様々なシミュレーションを行ったところ、400℃以上の熱水が毎秒20トンのフラックスで約3週間注入されたことで、2014年5月に観測された地磁気変化およびその後の磁場変化の停滞を説明できることがわかった。これは、Ohba et al.(2008)で示唆されたシーリングゾーンの破壊によるマグマ性流体の放出過程を捉えた可能性がある。
シミュレーションには、米国地質調査所のHYDROTHERM3.1.1を使用した。計算領域は高さ5km、半径5kmの円筒領域で、流体はこの中心に注入した。深さ100~400mには、比抵抗構造から推定されている粘土層を仮定して透水率を低く設定し、それ以外は一様構造とした。高温流体の急激な注入があった場合に、地表での平均的な放熱量と地磁気変化の大きさや時間スケールを説明するように浸透率などのパラメータを調整した。熱水と岩石は平衡状態にあると仮定し、温度場を磁化に換算する際に用いた岩石の熱消磁特性は、山崎・他(1992)により示されている山頂付近で採取されたサンプルの平均値を補間して用いた。
高温流体の地下浅部への注入に伴い、地磁気の変化が得られた。磁場変化は、流体の注入開始とともに発生し、注入を停止すると磁場変化も止まり、その後100日後でもほとんど変化していない。温度の分布を見ると、100日後でも温度分布にほとんど変化はなく、粘土層下での高温が維持されていた。パラメータを変化させて様々なシミュレーションを行ったところ、400℃以上の熱水が毎秒20トンのフラックスで約3週間注入されたことで、2014年5月に観測された地磁気変化およびその後の磁場変化の停滞を説明できることがわかった。これは、Ohba et al.(2008)で示唆されたシーリングゾーンの破壊によるマグマ性流体の放出過程を捉えた可能性がある。