JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC48] [JJ] 火山の熱水系

2017年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:藤光 康宏(九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)、鍵山 恒臣(京都大学理学研究科)、大場 武(東海大学理学部化学科)

[SVC48-P13] 九重火山における重力変動観測と熱水系の数値モデリング

*藤光 康宏1西島 潤1 (1.九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門)

キーワード:九重火山、重力測定、熱水系、数値モデリング

九州大学大学院工学研究院地球資源システム工学部門地球熱システム学研究室は、1995年に水蒸気噴火を起こした大分県九重火山を対象として、微小地震観測、噴気放熱量観測、重力変動観測などを実施しており、1995年噴火後の九重硫黄山からの放熱量変化など、主に熱的変化を説明するための熱水系の数値モデルを構築してきた。今回は、さらに重力変動観測結果も説明するための数値モデルの構築を試みた。

使用した熱水系シミュレーターはHYDROTHERM Ver. 2.2(Hayba and Ingebritsen, 1994)である。数値モデルにおける重力変動量は、熱水流動により起こるモデルの各ブロックにおける密度変化よりOkabeの式(Okabe, 1979)を用いて算出した。当研究室における先行研究の数値モデルから計算された重力変動量と観測結果とを比較した結果は、各測定点における経時変化の傾向は再現できているものの、変動量は数値モデルから計算された値が観測結果より大きくなっていた。そこで、先行研究のモデルに改良を加えたところ、モデルを構成するブロックサイズを小さくした場合に、計算された重力変動量が先行研究モデルよりも小さくなり観測結果に近づいた。計算機の制限によりこれ以上ブロックの細分化ができなかったが、より大規模な計算が可能なシステムで数値モデルの改良を進めることで、熱的変化だけでなく重力変動も説明できる数値モデルが得られることが期待される。

本研究を進めるにあたり、当時九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻修士課程の尾形直亮氏には、現地観測やデータ解析などで多大な協力を頂いた。



Hayba, D. O. and Ingebritsen, S. E. (1994) The Computer Model HYDROTHERM, a Three-Dimensional Finite-Difference Model to Simulate Ground-Water Flow and Heat Transport in the Temperature Range of 0 to 1,200℃. Water Resources Investigation Report, 94-4045, 85p

Okabe, M. (1979) Analytical Expressions for Gravity Anomalies due to Homogeneous Polyhedral Bodies and Translations into Magnetic Anomalies. Geophysics, 44, p.730-741.