JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC49] [JJ] 火山防災の基礎と応用

2017年5月21日(日) 10:45 〜 12:15 A08 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:吉本 充宏(山梨県富士山科学研究所)、萬年 一剛(神奈川県温泉地学研究所)、宝田 晋治(産業技術総合研究所活断層・火山研究部門)、佐々木 寿(アジア航測株式会社)、座長:木川田 喜一(上智大学理工学部)、座長:伊藤 英之(岩手県立大学総合政策学部総合政策学科)

12:00 〜 12:15

[SVC49-06] クラカタウ1883噴火の準備過程 
-カルデラ噴火の前兆はつかめるか?—

*高田 亮1 (1.活断層火山研究部門)

キーワード:クラカタウ、カルデラ噴火、大規模噴火、噴火前兆現象、インドネシア

カルデラ形成を伴う大規模噴火,またはそれに準ずるVEIで6以上の噴火は,既存のDB(Seibert et al.,2010)によれば,100年に1-2回程度発生している.しかし,平均値とは異なり,インドネシアだけで最近200年間で3回のカルデラ噴火を経験している.本発表では,その中で,比較的最近の情報が多く残るKrakatau1883のカルデラ噴火について,前兆現象を文献(Nishimura, 1980, Yokoyama, 1981, Simkin and Fiske, 1983;Carey et al.,1996; Mandeville et al., 1996)などでレビュウし(Takada, 2010; Takada et al., 2012),また,現地での巡検視察(1996,2006)などをもとに考察する.Krakatau火山は,ジャワ版「列王記」で,西暦416年の噴火記録があるが詳細は定かでない.1596年のスケッチでは,1883年噴火直前の火山島とほぼ同じ形が描かれていた.1680年には爆発的噴火が起こったことが銅版画で残されている,18世紀以後は,1883年の噴火まで噴火記録はなく,樹木に覆われた島は農地や硫黄採掘,温泉などとして利用されていた.クライマックスである1883年8月27日に先立つ3ヶ月半以上前の5月より有感地震が起こった.1883年噴火の前兆現象として,広範囲に噴気孔が広がっていく異常現象がとらえられていた.5月20日には噴煙が約11km上がった.爆発音,振動,少量の降灰が記録されている.5月22日には間歇的な灰噴火が起こり,海面には軽石が浮遊したまた,5月27-28日には,観光ツアーが島を訪れ,北側の噴火口の様子を報告した.その後も,6月に入り役人やオランダの軍人が上陸し観察記録を残している.6月-7月は,2箇所から噴煙が上がっていたが,8月11-12日には,オランダの大尉が上陸すると,約5kmの範囲で3箇所の噴火口と14箇所の噴気孔を確認していた.クライマックスは,8月26日の早朝から始まり,14時に爆裂とともに噴煙中が26km上がったと記録されている.27日には,早朝から4回の噴煙柱が立ち上がり,最高で38kmに達したと言われている.それに伴う津波も発生し,被害を拡大した.火砕流や火砕サージも発生し,対岸の集落を襲った.この噴火で約12km3のマグマが噴出したと報告されている(Carrey et al., 1996).
本研究は,原子力規制庁からの受託研究として行われた.