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[SVC50-02] カムチャツカ北東部,海山の沈み込みに起因する,高-Mg安山岩に含まれる超高Ni含有olivineの成因
キーワード:高-Mg 安山岩、高-Ni olivine、海山の沈み込み
カムチャツカ北東部は,(1)スラブエッジ周囲の高温アセノスフェア性マントルの流入(Yogodzinski et al., 2001),(2)天皇海山列の沈み込み(Davaille and Lees, 2004),等の極めてダイナミックな過程を内在する.これらのプロセスは,世界で最も活発な火山活動(Klyuchevskoy Volcanic Group)(Dorendorf et al., 2000)や,北部にかけてのスラブ沈み込み角度の浅化(Gorbatov et al., 1997)に影響を及ぼしていると考えられている.ここの前弧域に単成火山East Cone,EC(Fedorenko, 1969)が分布しており,それらは,沈み込む古くて冷たいとされる太平洋スラブ(~100 Ma,Renkin and Sclater,1988)の深度~60 km直上に位置する.この場合,スラブ起源流体の供給およびそれに伴うマントル溶融が,前弧域ではなくスラブ深度≳ 100 kmに火山フロントを形成する(Iwamori, 1998).我々は,EC溶岩が全体的に初生的であるにも関わらず,高-Mg安山岩(HMA)や未分化な玄武岩を含む岩石タイプのばらつきを示し,その上,それらが限られた領域の(30 km × 60 km範囲)一過性(0.73–0.12 Ma)の火成活動によってもたらされたことを発見した.含まれるolivine斑晶もまた,岩石タイプごとに異なる特徴を示す.これまで報告されている島弧火山岩中のolivineの中で(e.g., Straub et al., 2008),最も高いNi含有量を示す超高Ni含有olivine(Ni ~6300 ppm)がHMA中に見られた.一方,未分化な玄武岩中にはやや高Ni含有olivine(Ni ~2900 ppm)が含まれていた.これらの特徴はカムチャツカ北東地域のダイナミックな過程を反映している.
我々は,HMA,初生的な玄武岩,超高Ni含有olivineの生成条件に基づき,この不可解な前弧域における火成活動の過程を,海山の沈み込みが関与する固有で一時的な条件を考慮しながら議論する.鉱物組み合わせ,斑晶の組成と累帯構造の詳細な精査と共に,沈み込むスラブ,スラブ起源流体,DMM様マントルとメルトを含む微量元素のインバージョンは,マントルにおける結晶化の初期段階において,流体経路に沿って様々な度合いでpyroxenite化したソースの溶融に由来する複数の孤立したメルトポケット及び又は脈を示す.比較的暖かい地温勾配(Manea and Manea, 2007)を伴う沈み込んだ海山に由来するシリカに富む流体が,前弧域における流体の排出とその組成を説明することができる.そのような流体によって不均質に脈を形成したマントルの溶融が,限られた時空間において様々な初生メルトをもたらした.
我々は,HMA,初生的な玄武岩,超高Ni含有olivineの生成条件に基づき,この不可解な前弧域における火成活動の過程を,海山の沈み込みが関与する固有で一時的な条件を考慮しながら議論する.鉱物組み合わせ,斑晶の組成と累帯構造の詳細な精査と共に,沈み込むスラブ,スラブ起源流体,DMM様マントルとメルトを含む微量元素のインバージョンは,マントルにおける結晶化の初期段階において,流体経路に沿って様々な度合いでpyroxenite化したソースの溶融に由来する複数の孤立したメルトポケット及び又は脈を示す.比較的暖かい地温勾配(Manea and Manea, 2007)を伴う沈み込んだ海山に由来するシリカに富む流体が,前弧域における流体の排出とその組成を説明することができる.そのような流体によって不均質に脈を形成したマントルの溶融が,限られた時空間において様々な初生メルトをもたらした.