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[SVC50-04] 紀伊半島北部に分布する中新世火砕流堆積物の古流向:帯磁率異方性(AMS)からの推定
キーワード:帯磁率異方性(AMS)、火砕流堆積物、流向、中新世、紀伊半島
紀伊半島北部に分布する中期中新世の室生火砕流堆積物は,現存する堆積物の体積が100 km3超に達する大規模な流紋岩質火砕流堆積物である。この火砕流堆積物は奈良県に分布する石仏凝灰岩および大阪府に分布する玉手山凝灰岩と対比され,中期中新世の1500~1400万年前頃に紀伊半島北部が広範囲にわたって火砕流堆積物に覆われたと考えられている。筆者らはこの火砕流の流走方向を探るために,これらの火砕流堆積物の帯磁率異方性(AMS)を測定した。
筆者らは合計37地点の350試料について帯磁率を測定し,帯磁率の異方性度と形状度を明らかにし,さらに帯磁率主軸(K1, K2, K3)の方向を決定した。その結果,次の結論を得た。室生火砕流堆積物は全体的に帯磁率異方性度がそれほど高くない。帯磁率楕円体の形状は扁平型が卓越する。帯磁率面構造と帯磁率線構造の方向から,室生火砕流堆積物を堆積させた火砕流は全体として南方から北方へ流れた可能性が高い。しかし局所的にはかなり複雑な流れが発生していたと考えられる。以上の結果は,室生火砕流堆積物の給源火山が室生の南方に位置していたことを示唆する。
筆者らは合計37地点の350試料について帯磁率を測定し,帯磁率の異方性度と形状度を明らかにし,さらに帯磁率主軸(K1, K2, K3)の方向を決定した。その結果,次の結論を得た。室生火砕流堆積物は全体的に帯磁率異方性度がそれほど高くない。帯磁率楕円体の形状は扁平型が卓越する。帯磁率面構造と帯磁率線構造の方向から,室生火砕流堆積物を堆積させた火砕流は全体として南方から北方へ流れた可能性が高い。しかし局所的にはかなり複雑な流れが発生していたと考えられる。以上の結果は,室生火砕流堆積物の給源火山が室生の南方に位置していたことを示唆する。