[SVC50-P04] 伊豆諸島新島、大峯火砕丘の形成過程
伊豆諸島新島の西暦886年噴火は流紋岩質の羽伏浦火砕密度流の噴出に始まり、大峯火砕丘を形成した後、向山溶岩を流出して終息した。羽伏浦火砕密度流堆積物は堆積構造や定置温度、火山灰粒子の形態などから、噴火の際に浅海で高温のマグマが外来水と接触し、爆発的なマグマ水蒸気爆発が発生したとみなせる(Nakaoka and Suzuki-Kamata, 2015)。本研究では羽伏浦火砕密度流堆積物に引き続き形成された大峯火砕丘の噴火様式の推移や成長過程などを明らかにするため、堆積物の特徴や古地磁気などを検討した。
大峯火砕丘は羽伏浦火砕密度流堆積物からなる標高約100 m の台地上に位置する。両者は間に大きな時間間隔を示す風化帯などを挟むことなく、ほぼ連続して形成されたと推定される。火砕丘の比高は約200 m、底径は約2.7 kmである。山頂は向山溶岩に覆われて比較的平坦であるが、その東半分には直径0.4–0.6 kmの火口が少なくとも5つ確認できる。
大峯火砕丘の構成物はブロック〜火山礫サイズの黒雲母流紋岩岩片とブロック状〜平板状の火山灰粒子からなり、少量の異質岩片を含む。本質岩片は、発泡度が低く、気孔は引き延ばされている。本質岩片の密度は1.6–1.7 g/cm3で、羽伏浦火砕密度流堆積物の軽石の密度0.8–1.3 g/cm3に比べて大きい。これらは、厚さ数10 –120 cmの層をなして重なり合っている。それぞれの層は塊状で淘汰が悪く、細粒火山灰に富む。
本質岩片を段階熱消磁すると350–400℃以下で磁化方向が当時の地球磁場方向に揃う。これは本質岩片が350–400℃以下で定置し、その場でさらに冷却する過程で熱残留磁化を獲得したことを意味しており、ブロックサイズの本質岩片は角柱状に割れ、さらに、割れ目に沿ってほぐれていることがあるという観察事実と調和的である。
以上のことから、大峯火砕丘を構成する堆積物は、高温の溶岩と外来水との爆発的反応、もしくは溶岩の重力崩壊によって発生した火砕密度流の堆積物であることが示唆される。羽伏浦火砕密度流堆積物もマグマ水蒸気爆発起源と考えられているが、定置温度は300℃以下(Nakaoka and Suzuki-Kamata, 2015)で、大峯火砕丘の方が高い。これは大峯火砕丘の噴火では水の関与が少なくなったことを示唆する。それでも火砕粒子が水蒸気に触れて濡れているときは、急傾斜を保持して火砕丘を形成することもある (Aranda-Gomez and Luhr, 1996;Kano and Takarada, 2007)。
大峯火砕丘は羽伏浦火砕密度流堆積物からなる標高約100 m の台地上に位置する。両者は間に大きな時間間隔を示す風化帯などを挟むことなく、ほぼ連続して形成されたと推定される。火砕丘の比高は約200 m、底径は約2.7 kmである。山頂は向山溶岩に覆われて比較的平坦であるが、その東半分には直径0.4–0.6 kmの火口が少なくとも5つ確認できる。
大峯火砕丘の構成物はブロック〜火山礫サイズの黒雲母流紋岩岩片とブロック状〜平板状の火山灰粒子からなり、少量の異質岩片を含む。本質岩片は、発泡度が低く、気孔は引き延ばされている。本質岩片の密度は1.6–1.7 g/cm3で、羽伏浦火砕密度流堆積物の軽石の密度0.8–1.3 g/cm3に比べて大きい。これらは、厚さ数10 –120 cmの層をなして重なり合っている。それぞれの層は塊状で淘汰が悪く、細粒火山灰に富む。
本質岩片を段階熱消磁すると350–400℃以下で磁化方向が当時の地球磁場方向に揃う。これは本質岩片が350–400℃以下で定置し、その場でさらに冷却する過程で熱残留磁化を獲得したことを意味しており、ブロックサイズの本質岩片は角柱状に割れ、さらに、割れ目に沿ってほぐれていることがあるという観察事実と調和的である。
以上のことから、大峯火砕丘を構成する堆積物は、高温の溶岩と外来水との爆発的反応、もしくは溶岩の重力崩壊によって発生した火砕密度流の堆積物であることが示唆される。羽伏浦火砕密度流堆積物もマグマ水蒸気爆発起源と考えられているが、定置温度は300℃以下(Nakaoka and Suzuki-Kamata, 2015)で、大峯火砕丘の方が高い。これは大峯火砕丘の噴火では水の関与が少なくなったことを示唆する。それでも火砕粒子が水蒸気に触れて濡れているときは、急傾斜を保持して火砕丘を形成することもある (Aranda-Gomez and Luhr, 1996;Kano and Takarada, 2007)。