公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

臨床コンペティション

現地発表+ライブ配信

歯科医師と歯科技工士の連携による審美補綴への挑戦

2024年7月7日(日) 13:10 〜 16:10 第2会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 国際会議室)

座長:大久保 力廣(鶴見大)、松香 芳三(徳島大)

共催:日本臨床歯科学会/(特非)日本顎咬合学会
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[CC-1] 学際的アプローチにおける補綴マネジメントの要諦

*積田 光由1、*河村 昇1 (1. 鶴見大学歯学部クラウンブリッジ補綴学講座)

[Abstract]
 複雑かつ急速に進歩する今日の歯科診療において,すべての分野の知識や技術を習得することは困難である.特に複雑な症例では患者の利益を最大化するために,学際的なアプローチが要求されるようになってきた.そこで今回は,下顎骨区域切除が必要となった症例に対する学際的アプローチと治療全体の流れに対する補綴的マネジメントの要諦について考察を加えたい.
 症例は31歳女性,下顎の膨隆を主訴に来院,エナメル上皮腫との診断にて下顎骨区域切除を行うこととなった.そこで,下顎骨区域切除後の顎骨再建,咬合再建を目的に,口腔外科医と協同し顎骨再建シミュレーションに基づいた初期治療計画を立案した.すなわち,CAD上にて患者の初診時に腫瘍による膨隆の影響の少なかった下顎骨下縁を基準とした再建モデルを作成,3Dプリンターにて造形後にチタンカスタムメッシュトレーの製作を行った.下顎骨区域切除および顎骨再建後には,付着歯肉の獲得を目的とした遊離歯肉移植術を行った.顎骨再建後の再評価において問題点を抽出した後に,口腔外科医,矯正医と協同のうえ,再度の治療計画を立案,下顎治療用義歯を製作するとともに上顎歯列の矯正治療を行った.治療用義歯により咬合の安定化がはかられた後,下顎再建骨に対してインプラント体の埋入手術を施行,所定の待機期間を経てインプラント暫間上部構造を装着し,機能性,審美性,清掃性等の確認を行った.最終補綴装置にはジルコニアを用いたインプラント支持ブリッジを製作し,現在まで良好な経過が得られている.

トピックス
●学際的アプローチ
●咬合再建
●ボーンアンカードブリッジ