臨床リレーセッション1
CAD/CAM技術の台頭で部分床義歯製作はどのように変わったのか？

[CLS1-3] CAD/CAM技術を活かしたパーシャルデンチャーの臨床

*田坂 彰規¹ (1. 東京歯科大学パーシャルデンチャー補綴学講座)

[Abstract]
　近年のデジタルデンティストリーの普及に伴い，口腔内スキャナーで取得した3DデータからCAD/CAM技術を用いてクラウンおよびインプラント上部構造などの固定性補綴装置を製作するワークフローは一般化しつつある．特にインプラント治療は規格化された既製品を多く使用しているため，術前の埋入手術シミュレーション，サージカルガイドやナビゲーションシステムによる埋入手術から補綴装置の製作まで一貫したデジタル化が発展している．パーシャルデンチャーは支台装置（レスト，クラスプ），隣接面板，連結子，義歯床および人工歯といった多くの要素から構成され，規格化された部分は少ない．また，パーシャルデンチャーの設計のバリエーションは多岐にわたるため，固定性補綴装置と比較してオーダーメイド性が高くなる．さらに，被圧変位量が大きく異なる残存歯と顎堤や可動組織に対して，両者の調和を図る必要があるため，口腔内スキャナーの使用に制限が生じる．以上の点からパーシャルデンチャーの治療においてデジタル化が進んでいない背景がある．一方でCAD/CAM技術および材料開発の進歩は止まることがなく，切削加工用および積層造形用の義歯用材料が次々と薬機法で承認されている．上述した問題点を包含しつつも，これらの新技術をパーシャルデンチャーの製作に利用しない手はない．
　本発表では，これまで当講座で実施してきたCAD/CAM技術を活用したパーシャルデンチャーの研究と臨床から現在の到達点と今後の課題を考察したい．

トピックス
●局部床義歯
●CAD/CAM
●デジタルデンティストリー