公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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イブニングセッション4
ここを伝えて欲しい!部分床義歯製作における歯科技工士への情報共有の勘所

2024年7月6日(土) 18:00 〜 19:00 第5会場 (幕張メッセ国際会議場 3F 303)

コーディネーター:和田 淳一郎(医歯大)

[ES4-1] ここを伝えて欲しい!部分床義歯製作における歯科技工士への情報共有の勘所

*和田 淳一郎1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体補綴歯科学分野)

[Abstract]
 部分床義歯装着により機能回復を図るうえで,「義歯の安定」は欠かすことのできない最重要項目である.義歯の安定は,「支台歯の選択」,「支台装置をはじめとする構成要素の選択」,「義歯床の外形」,といった,同一歯列内における要素(いわば「静的要素」)と,支台歯の動揺や対向関係,患者の咬合力といった要素(いわば「動的要素」)により決定づけられる.
 このうち静的要素については,歯科技工士の知識,技術,経験が十分である場合,必ずしも歯科医師の指示がなくとも,適切な配慮のもと,義歯製作を行うことが可能である.一方,歯科医師の具体的な指示がなくとも適切に義歯製作を行える技量が,すべての歯科技工士に備わっている訳ではなく,それを歯科医師が期待すること自体,「求め過ぎ」であろう.一方,義歯が適切に完成しなければ,患者が不利益を被ることになり,患者にとっては「歯科医師,歯科技工士のいずれに原因があるか」の議論は無意味である.言い換えれば,歯科医師と歯科技工士が,必要に応じてお互いの技量不足分を補完し合える関係が重要,ということになる.
 今回,「静的要素」にフォーカスし,どのような情報が完成義歯の質を左右するかを確認し,歯科医師と歯科技工士,それぞれの技量によらず,双方が協力することで適切な義歯を製作するために必要な情報共有について議論したい.