公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

メインシンポジウム

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

日本栄養治療学会 合同シンポジウム
補綴歯科治療と栄養治療の新たな連携戦略

2024年7月6日(土) 15:00 〜 16:50 第1会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール A)

座長:古屋 純一(昭和大)、石井 良昌(座間総合病院)

共催:(一社)日本栄養治療学会/(公社)日本歯科衛生士会
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[MSY-2] 高齢者の栄養管理と「食べる」こと

*鍋谷 圭宏1 (1. 日本栄養治療学会、2. 千葉県がんセンター食道・胃腸外科)

[Abstract]
日本国民の高齢化は著しく,医療とくに癌治療における高齢者対策は欠かせなくなった.もとより高齢者は身体的・精神的・社会的な能力が低下する.特に,筋力低下,歯の喪失,味覚障害や嗜好の影響などにより,経口摂取量が徐々に減少し,低栄養に陥りやすい.一方,筋肉量や筋力の低下で定義されるサルコペニアや社会的な機能低下も含むフレイルと呼ばれる疾患概念が近年注目され,癌などさまざまな疾患の治療成績に負に働くことが注目されている.しかし,何らかの疾患が診断されてから,治療を開始するまでの間に,低栄養・サルコペニア・フレイルを改善することは容易ではなく,これらを併せ持つ高齢者人口の減少が,治療成績向上には必要と思われる.こうした,社会栄養学ともいうべき取り組みの一つとして,「口から食べる」ことは重要で,栄養管理の一部としても,治療に向かう患者の心の支えとしても必要である.さらに,診断後すぐに治療が始まり経口摂取に影響が大きい癌治療などの場合は,歯の状態を含めた口腔機能・嚥下評価に基づく食の工夫が必要になる.当院では,病院食を栄養管理のツールの一つと考え,提供する食事の工夫を行い,少しでも患者の喫食量が増加するように努めている.また,その工夫を在宅でも行えるように情報提供している.上記の現状を鑑みても,健康な歯の維持は重要で,歯科を含めた幅広い多職種連携の下でチーム医療による栄養管理を行う必要がある.今後,日本栄養治療学会と日本補綴歯科学会がお互いの専門的知識を共有し,高齢者の「食べる」ことに少しでも貢献できることを期待したい.

トピックス
●高齢者
●サルコペニア・フレイル
●歯科