The 133rd Annual Meeting of the Japan Prosthodontic Society / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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Oral Presentation

On-site

Oral Presentation 5
Neuroscience

Sat. Jul 6, 2024 3:20 PM - 3:50 PM Room 3 (Makuhari Messe International Conference Hall 2F 201)

Chair: Yoshizo Matsuka (Tokushima University)

[O1-14] Involvement of trigeminal subnucleus oralis (Vo) in orofacial neuropathic pain development.

*Yurika Ide1, Jun Lee1, Shinji Okada1, Shunichi Kuroshaki1, Katsunori Ito1, Hideki Nishiura1, Toshimitsu Iinuma1 (1. Department of Complete Denture Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry)

[Abstract]
【目的】
 三叉神経が損傷を受けると,口腔顔面領域に神経障害性疼痛と呼ばれる慢性的な異常疼痛が発現するケースがあり,臨床で苦慮することがある.口腔顔面領域の侵害情報は,三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)ニューロンに伝えられ,痛みに対して最も深く関与するとされている. 近年,三叉神経脊髄路核吻側亜核(Vo)ニューロンが非侵害情報入力だけでなく侵害情報入力を受け,侵害情報処理に重要な働きを有するとの報告があるが,神経障害性疼痛に関与するかは不明である.本研究では,三叉神経損傷動物モデルを用いて,Voニューロンと,Voに投射する三叉神経節(Vo-TG)ニューロンおよびVoに投射する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vo-Vc)ニューロンの相互関連性の有無を明らかにし,神経障害性疼痛との関係を解明することとした.
【方法】
 7週齢の雄性ラットを用い,眼窩下神経の1/3を部分結紮して三叉神経損傷モデルラットを作製(PNL 群)した.また,眼窩下神経の剖出のみの群をsham群とした.各処置前および処置後1,3,5,7,10, 14日目に口髭部皮膚への機械刺激に対する逃避閾値を測定した.処置後7日目,Voから単一ニューロン活動を導出し,応答様式を解析した.Voに逆行性トレーサーであるFGを注入し,TG内のVo-TGニューロンを標識し,神経ペプチド(CGRP,SP)および侵害刺激受容体(TRPA1)の発現を免疫組織化学的に解析した.さらに,FG標識Vo-Vcニューロンのc-Fos発現も解析した.
【結果と考察】
 PNL群の逃避閾値はsham群に比べ有意に低下した.Voニューロンからは低閾値機械受容ニューロンおよび広作動域(WDR)ニューロンが検出された.PNL群のWDRニューロンはsham群と比較し,やや高い応答性を示した.Vo-TGニューロンでは,CGRP,SPおよびTRPA1発現を認め,それぞれの陽性ニューロン数はPNL群の方がやや多い傾向を示した.c-Fos発現Vo-VcニューロンはVc深層においてのみ認められた.VoニューロンはPNL後に口腔顔面領域への機械刺激に対する応答性の増強を引き起こした.この応答性の増強には,①Vo-TGニューロンにおけるCGRP,SPおよびTRPA1の発現増加,②Vcの深層に存在するVo-Vcニューロンの応答性増強,が関与する可能性が示された.