The 133rd Annual Meeting of the Japan Prosthodontic Society / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

Presentation information

Oral Presentation

On-site

Oral Presentation 7
Implantology, Biology

Sat. Jul 6, 2024 4:30 PM - 5:00 PM Room 3 (Makuhari Messe International Conference Hall 2F 201)

Chair: Yoshiyuki Hagiwara (Nihon University)

[O1-20] Functional role of bone sialoprotein in implant osseointegration

*Naoto Koyama1, Atsuhiro Nagasaki1, Masahiro Yamada1, Hiroshi Egusa1 (1. Division of Molecular and Regenerative Prosthodontics, Tohoku University Graduate School of Dentistry)

[Abstract]
【目的】
 インプラント骨結合の強さは治療の予後を左右するため、これを制御する生体分子の同定はインプラント補綴治療の発展に重要である.骨シアロタンパク質(BSP/Ibsp)は、硬組織における基質石灰化等を制御するとともに、骨-インプラント界面とその周囲支持骨を構成する主たる細胞外マトリックスタンパク質の一つである.BSPを遺伝的に欠損させたIbsp-/-マウスは、Osteopontin(OPN/Spp1)等の類縁タンパク質の代償性発現が導かれるにも関わらず、長管骨皮質骨や歯槽骨の骨量減少、石灰化度低下およびセメント質の菲薄化を示す.しかし、インプラント骨結合におけるBSPの機能的役割は未だ解明されていない.そこで本研究では、BSPがインプラント骨結合に及ぼす影響の検証を目的とし、BSP欠損マウスを用いた評価を行った.
【方法】
 直径0.8 mm、長さ1.5 mmの純チタンのネジを熱濃硫酸処理により表面にミクロ粗面を付与し、5週齢野生型またはIbsp-/-マウスの上顎第一臼歯抜歯窩および大腿骨骨幹中央部に埋入した.術後30日にインプラントおよびその周囲骨組織を採取し、逆回転トルク試験による骨結合強度評価、脱灰組織切片による組織学的解析および骨基質石灰化の指標となるDentin matrix protein 1(DMP1/Dmp1)やSpp1等の遺伝子発現をリアルタイムRT-PCR法で解析した.
【結果と考察】
 Ibsp-/-マウスのインプラント骨結合強度は、野生型マウスの値に比べ、上顎骨で54.0%、大腿骨で34.6%低かった.上顎骨と大腿骨の双方で、野生型マウスのインプラント周囲骨組織では、成熟した厚い層板骨の形成を認めた.一方、Ibsp-/-マウスのインプラント周囲の骨梁構造は層板化に乏しく菲薄であり、Dmp1Spp1等の発現は、野生型マウスの場合と比較して著しく低下していた.以上より、歯槽骨ならびに長管骨の双方で、BSP欠損はインプラント周囲骨組織の成熟化を抑えることで、インプラント骨結合強度を低下させることが示された.今後、骨-インプラント界面やインプラント周囲骨組織におけるBSPの機能的役割を詳細に検討することで、BSPやその関連分子をターゲットとした新たな骨結合促進技術の開発に繋がることが期待される.