有床義歯

[P-4] シリコーン系適合試験材を用いた適合試験による評価

*上之薗 佳也¹、篠﨑 裕¹ (1. 株式会社ジーシー　研究所)

[Abstract]
【目的】
　適合試験材は，有床義歯や歯冠補綴装置を口腔内に装着する際に，粘膜面や支台歯への適合状態を確認するための材料である．特に義歯の場合は，痛みや腫瘍のある部分を特定し，患者の負担を軽減するために日常的に使用されている．
　一般的に，シリコーン系適合試験材を用いた義歯の適合試験では適合試験材の厚さの変化による色の濃淡を目視によって確認し，適合性を確認する．
　この試験の性質上，荷重印加時の適合試験材の広がり方や，その時の色の見え方は術者にとって最も重要な項目となる．
　新たに発売されたフィットチェッカーONEは，「フィットチェッカーと同じ適合試験の結果が得られる」，「義歯床から千切れず，簡単に剥がせる」^１）という特長を有する．本発表では，フィットチェッカーONEの特長のひとつである「フィットチェッカーと同じ適合試験の結果が得られる」を評価するため，各製品のちょう度および適合試験を模した試験を実施したので報告する．
【方法】
　適合試験材として，ジーシー フィットチェッカー（FC），ジーシー フィットチェッカーONE（FCO），ジーシー フィットチェッカーアドバンス（FCA），製品A，製品B，及び製品Cを使用した．
・適合試験材の広がりの評価
　JIS T 6513を参考にし，ちょう度試験を行った．ただし，記載されている荷重のタイミングは練和後25秒以内であるが，臨床上での作業を想定し，本試験では荷重のタイミングは練和後15秒とし統一した．
・臨床を想定した色の見え方の評価
　義歯床を模した試験片をアクロンで作製し，適合試験を行った．適合試験後，試験片の写真を撮影し，目視にて比較し評価した．
【結果と考察】
　図1に各製品のちょう度，図２に適合試験結果を示す．FCと比較してFCOは同様な色の見え方であることを確認した．ちょう度に関してもFCとFCOの間に有意差はなかった．一方でFCと比較するとFCA，製品A，製品B，製品Cは薄く広がり透けやすくなっており，異なった色の見え方となっている．ちょう度においても有意差があり，FCA，製品A，製品B，製品Cは明らかに大きく広がることを確認した．
　以上の結果より，フィットチェッカーONEは，臨床において，フィットチェッカーと同じ感覚で適合試験材として使用できることが示唆された．
【参考文献】
１）佐藤 純，伏島 歩登志. 第78回　日本歯科理工学会