[P-5] Disinfection Effect of Ultraviolet Light Irradiation Devices and Their Application to Dentures
[Abstract]
【目的】
パンデミックや自然災害等の感染症リスクの増加に伴い、個人用の除菌装置への関心が高まっている.ポータブルな紫外線(UV)照射装置は利便性だけでなく、水を用いた洗浄が行えない場合でも使用できるため注目を集めているが、除菌対象はスマートフォンやアクセサリー等の日用品で、義歯の除菌効果に関する科学的知見は不足している.本研究は、UV照射装置の除菌効果を調べ、義歯へ使用できるか調べることを目的とした.
【方法】
UV照射装置(A~G)7種を用い、Candida albicansとStaphylococcus aureusを接種した寒天培地に対する除菌効果を評価した.一定のコロニー形成単位(CFU)を播種した寒天培地を用意し、光照射なしをコントロールとし、実験後に37℃で培養し出現したコロニーをカウントしてコントロールと比較した.次にC. albicansで汚染された義歯に対する装置A、C、Dの効果を調べた.臨床研究では、全部床義歯装着中の患者を対象に装置Aを使用した(臨床研究倫理委員会 #210073).検体は、ふきふきチェックII(栄研科学、栃木)のスワブで装置使用前には義歯右半分粘膜面から採取し、装置使用後に義歯左半分粘膜面から採取した.検体から細菌および真菌の培養を行い、照射前後のCFUを比較した.
【結果と考察】
寒天培地を用いた実験では、装置A、C、Dでは播種面が上向きの場合、C. albicansとS. aureusの両方とも有意に減少させた.しかし播種面が下向きの場合、効果は十分ではなかった.これは、多くの装置で光源が上部にだけ存在するためと考えられた.C. albicansで汚染された義歯の除菌では装置AとCが有効で、装置の違いで除菌効果が異なることが示唆された.臨床研究では、装置Aの使用で全部床義歯粘膜面における全生物CFUが有意に減少し、装置Aは患者が使用中の義歯への適応時にも問題なく使用が可能で、除菌効果も十分であることが示された.本研究により一部のポータブルUV照射装置は、義歯の除菌に有効である可能性が示されたが、装置により効果にばらつきがあり、使用に関し除菌効果や安全性が保障されている製品を用いる等、慎重な姿勢が求められる.今後は除菌工程の最適化や安全性、長期間使用時の義歯材料に対する影響評価等に関し、さらなる研究が必要である.
【目的】
パンデミックや自然災害等の感染症リスクの増加に伴い、個人用の除菌装置への関心が高まっている.ポータブルな紫外線(UV)照射装置は利便性だけでなく、水を用いた洗浄が行えない場合でも使用できるため注目を集めているが、除菌対象はスマートフォンやアクセサリー等の日用品で、義歯の除菌効果に関する科学的知見は不足している.本研究は、UV照射装置の除菌効果を調べ、義歯へ使用できるか調べることを目的とした.
【方法】
UV照射装置(A~G)7種を用い、Candida albicansとStaphylococcus aureusを接種した寒天培地に対する除菌効果を評価した.一定のコロニー形成単位(CFU)を播種した寒天培地を用意し、光照射なしをコントロールとし、実験後に37℃で培養し出現したコロニーをカウントしてコントロールと比較した.次にC. albicansで汚染された義歯に対する装置A、C、Dの効果を調べた.臨床研究では、全部床義歯装着中の患者を対象に装置Aを使用した(臨床研究倫理委員会 #210073).検体は、ふきふきチェックII(栄研科学、栃木)のスワブで装置使用前には義歯右半分粘膜面から採取し、装置使用後に義歯左半分粘膜面から採取した.検体から細菌および真菌の培養を行い、照射前後のCFUを比較した.
【結果と考察】
寒天培地を用いた実験では、装置A、C、Dでは播種面が上向きの場合、C. albicansとS. aureusの両方とも有意に減少させた.しかし播種面が下向きの場合、効果は十分ではなかった.これは、多くの装置で光源が上部にだけ存在するためと考えられた.C. albicansで汚染された義歯の除菌では装置AとCが有効で、装置の違いで除菌効果が異なることが示唆された.臨床研究では、装置Aの使用で全部床義歯粘膜面における全生物CFUが有意に減少し、装置Aは患者が使用中の義歯への適応時にも問題なく使用が可能で、除菌効果も十分であることが示された.本研究により一部のポータブルUV照射装置は、義歯の除菌に有効である可能性が示されたが、装置により効果にばらつきがあり、使用に関し除菌効果や安全性が保障されている製品を用いる等、慎重な姿勢が求められる.今後は除菌工程の最適化や安全性、長期間使用時の義歯材料に対する影響評価等に関し、さらなる研究が必要である.