The 133rd Annual Meeting of the Japan Prosthodontic Society / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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Poster Presentation

On-site

Removable Prosthodontics

Sat. Jul 6, 2024 12:00 PM - 1:00 PM Poster Session Hall (Makuhari Messe International Conference Hall 2F Convention Hall B)

[P-8] Effects of friction coefficients on the behavior analysis of basal seat mucosa under maxillary complete denture with finite element method

*Kenji Aoki1, Yuki Taniuchi1, Daikei Matsumoto1, Shigenori Uchida1, Mie Numazawa1, Fumiko Narumi1, Kazuhiko Okamoto1 (1. Division of Removable Prosthodontics, Department of Restorative and Biomaterials Sciences, Meikai University School of Dentistry)

[Abstract]
【目的】
 義歯床下粘膜の挙動を捉えることは補綴装置の装着時の不快症状を軽減する上で重要である.そのため,上顎全部床義歯における義歯床下粘膜挙動の解析を行い,非線形解析の有用性について第132回学術大会で報告した.
 一方,義歯床下粘膜においては,咀嚼時に負担圧が生じており,義歯が誘発する粘膜病変の多くが,粘膜に対する摩擦負荷に関連すると報告されている1)
 そこで,義歯床下粘膜の摩擦係数による義歯床下粘膜挙動への影響を検討する目的で,三次元有限要素法を用いて解析を行った.
【方法】
 本研究に用いた解析モデルの構築は,谷内ら2の報告に準じた.なお,設定条件として,荷重は咬合平面に対して垂直方向から50~230 Nを左右上顎第一大臼歯に加えた.また,義歯床と義歯床下粘膜との界面の摩擦係数は 0.15~0.35の0.1間隔で設定した.
 解析結果は,義歯床下粘膜に発現する応力をvon Mises相当応力,最大主応力,また,ひずみについては,最大主全ひずみ,そして,義歯床下粘膜でのX(頰舌側方向),Y(近遠心側方向),Z(上下方向)方向の変位量についてポストプロセッサにより可視化して検討を行った.
【結果と考察】
 最大応力では,摩擦係数ならびに荷重量の増加に関わらず,頰側床縁部にvon Mises相当応力,顎堤頂部に最大主応力(圧縮方向)がみられた.最大主全ひずみは,頰側床縁部に最大ひずみ(圧縮方向)が発現していた.また,変位量では,摩擦係数が大きくなるに従って,Z方向(引張方向)でわずかに増加するものの,XY方向ならびにZ方向(圧縮方向)で減少しており,Y方向で顕著であった.これは主としてY方向の変位量に対して,XZ方向への変位量が大きいことに起因していると考えられた(図1).
 以上のことから,義歯床下粘膜の摩擦係数による変化は義歯床下粘膜の挙動,とくにX方向ならびにZ方向への変位量に影響を及ぼすことが示唆された.
【参考文献】
1) J.F. Prinz, R.A. de Wijk, L. Huntjens. Load dependency of the coefficient of friction of oral mucosa. Food Hydrocolloids 2007 ; 21:402-408.
2)谷内佑起,青木健児,渡邉浩志ほか.有限要素法による全部床義歯における義歯床下粘膜挙動の解析.日補綴会誌 2023;15巻特別号,166.