Removable Prosthodontics

[P-10] The effect of different injection pressures for agar cleaning on denture surfaces after removal of contaminants

*Tatsushi Naito¹, Akiko Miyake², Satoshi Komasa¹, Yuichiro Tashiro¹, Hideaki Sato³, Takuya Mino¹, Kenji Maekawa¹ (1. Department of Removable Prosthodontics and Occlusion, Osaka Dental University, 2. Department of Oral Health Engineering Faculty of health Sciences, Osaka Dental University, 3. Department of Mechanical Engineering, Faculty of Science and Engineering, Tokyo City University)

[Abstract]
【目的】
　我々は新規義歯清掃法として寒天粒子を使用した噴射清掃に着目し，基礎的研究成果を得てきた．本研究では，新規清掃法の臨床応用を念頭に，寒天の噴射装置として歯科用サンドブラスターを使用して，義歯床表面を損傷することなく汚染物の除去が可能となる適正噴射圧力について検討した．
【方法】
　義歯床用レジン（アクロンMC，GC）を用いて作製した直径10 mm，厚さ1 mmの円柱状のポリメチルメタクリレート（PMMA）板を実験試料（n=25）として，通常の義歯研磨法に則って研磨を行い，試料表面の初期表面粗さを規定した．模擬汚染物にはウシ血清アルブミン（BSA）を用い，PMMA板に付着後，自然乾燥を行った．その後，歯科用サンドブラスター（APB-3N-1SN，秋山産業）にて，寒天粒子（S-6，伊那食品工業）を噴射し，PMMA板表面の清掃を行った．噴射条件は，噴射距離20 mm，噴射角度90 度，噴射時間5 秒とし，噴射圧力は0.1MPa，0.2MPa，0.3MPa，0.4MPa，0.5MPaの5通り（各条件n=5）で比較した．噴射前後のPMMA板の表面粗さ（Ra）と断面曲線の評価には触針式表面粗さ計，表面画像の評価には走査型電子顕微鏡（SEM），元素解析にはX線光電子分光法（XPS）を用い，Raの計測部位は各PMMA板に３か所設けた．統計学的分析として，各噴射圧力条件の清掃前後のRaの比較にはstudentのt検定，各噴射圧力の清掃前後のRaの差の条件間の比較には一元配置分散分析（事後検定としてTukeyの多重比較）を用いた．有意水準は0.05とした．
【結果と考察】
　断面曲線とSEM画像の観察結果から，0.4MPaと0.5MPa条件において清掃前後で表面構造に変化を認めた．XPS解析では，0.1MPaと0.2MPa条件での清掃後にBSAに特有な構成元素である窒素のピークを認めた．各噴射圧力条件の清掃前後のRaの比較の結果，0.4MPaと0.5MPa条件では清掃前に比較して清掃後のRaの値が有意に大きかった．清掃前後のRaの差の条件間の比較の結果，0.4MPaと0.5MPaは，0.1MPa，0.2MPaならびに0.3MPa条件と比較して，有意に大きい値を示した．以上より，本研究の条件下では，0.3MPaが義歯床表面を損傷することなく汚染物の除去が可能な適正噴射圧力であることが示された．