[P-100] 顎関節症患者のQOLに影響及ぼす要因 −探索的研究−
[Abstract]
【目的】
顎関節症の病態には,咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害,変形性顎関節症がある.近年,医療評価研究としてQuality of life (QOL) の評価が重要視されており,顎関節症は機能面や心理社会面などにも影響を及ぼすためQOLの評価が重要だが,本邦では顎関節症患者のQOLに関する報告は少ない.本研究は,顎関節症初診患者のQOLについて質問票を用いて評価し,QOLに関連する患者特性及び顎関節症の病態を明らかにすることを目的とした.
【方法】
東京医科歯科大学病院顎関節症外来に来院し,Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)に基づき顎関節症と診断された18歳以上の者を対象とした.調査項目を表に示す.初診時質問票から基本属性を抽出し,顎関節症の診査にて身体的評価を行った.さらにQuality of life index for temporomandibular disorders(QOLI-TMD)1)を用いて顎関節症関連QOLの評価を行った. QOLI-TMDについては,合計値および2つのサブドメイン値(機能的障害,心理社会的障害)を算出した.各QOLスコアと基本属性,身体評価との関係をスピアマンの相関分析およびt検定にて評価し,その後重回帰分析を行った.統計解析はSPSSを用い,有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
219名を分析対象とした. 重回帰分析の結果,QOLI-TMD合計スコアには,無痛開口量および痛みを伴う顎関節症(咀嚼筋痛障害, 顎関節痛障害)が有意に関連があることが示された(p<0.05).また機能的障害,心理社会的障害の両スコアには,痛みを伴う顎関節症は有意な関連があり,心理社会的障害スコアには,年齢が有意な関連があることが示された(p<0.05).よって顎関節症治療においてQOLを向上させるには,開口量を増加させることよりも,痛みを軽減させることが重要である事が示唆された.
【参考文献】
1) Nakayama R, Nishiyama A, Shimada M. Creating a Quality of Life Index for Patients with Temporomandibular Disorders. Int J Dent Oral Health 2017; 3(5).
【目的】
顎関節症の病態には,咀嚼筋痛障害,顎関節痛障害,顎関節円板障害,変形性顎関節症がある.近年,医療評価研究としてQuality of life (QOL) の評価が重要視されており,顎関節症は機能面や心理社会面などにも影響を及ぼすためQOLの評価が重要だが,本邦では顎関節症患者のQOLに関する報告は少ない.本研究は,顎関節症初診患者のQOLについて質問票を用いて評価し,QOLに関連する患者特性及び顎関節症の病態を明らかにすることを目的とした.
【方法】
東京医科歯科大学病院顎関節症外来に来院し,Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)に基づき顎関節症と診断された18歳以上の者を対象とした.調査項目を表に示す.初診時質問票から基本属性を抽出し,顎関節症の診査にて身体的評価を行った.さらにQuality of life index for temporomandibular disorders(QOLI-TMD)1)を用いて顎関節症関連QOLの評価を行った. QOLI-TMDについては,合計値および2つのサブドメイン値(機能的障害,心理社会的障害)を算出した.各QOLスコアと基本属性,身体評価との関係をスピアマンの相関分析およびt検定にて評価し,その後重回帰分析を行った.統計解析はSPSSを用い,有意水準は0.05とした.
【結果と考察】
219名を分析対象とした. 重回帰分析の結果,QOLI-TMD合計スコアには,無痛開口量および痛みを伴う顎関節症(咀嚼筋痛障害, 顎関節痛障害)が有意に関連があることが示された(p<0.05).また機能的障害,心理社会的障害の両スコアには,痛みを伴う顎関節症は有意な関連があり,心理社会的障害スコアには,年齢が有意な関連があることが示された(p<0.05).よって顎関節症治療においてQOLを向上させるには,開口量を増加させることよりも,痛みを軽減させることが重要である事が示唆された.
【参考文献】
1) Nakayama R, Nishiyama A, Shimada M. Creating a Quality of Life Index for Patients with Temporomandibular Disorders. Int J Dent Oral Health 2017; 3(5).