[P-105] 地域在住高齢者における転倒不安と口腔機能低下症との関連性
[Abstract]
【目的】
高齢者の転倒と,残存歯数や咬合との関係は過去から報告されている.しかしながら,それ以外の口腔機能の客観的評価との関連性はあまり報告されていない.そこで今回,地域在住高齢者を対象とする大規模調査において,心身機能の衰えを確認するためのツール「基本チェックリスト(KCL)」における転倒不安に関する回答と口腔機能との関連性を検討した.
【方法】
2023年10月の京都先端科学大学との地域在住高齢者の身体・口腔機能に関する共同調査へ参加した高齢者326名(男性60名;平均年齢80.3±5.1歳,女性266名;平均年齢78.3±5.2歳)を対象とした.対象者は郵送で調査案内の連絡を受け,調査当日に公共交通機関等を使って自力で参加した者たちであり,調査開始前に書面にて同意を得た.脳血管や循環器疾患の既往のある者は除外した.
KCL「Q10. 転倒不安」への回答と年齢,BMI,握力に加えて,口腔機能低下症の検査項目である残存歯数,咬合力,咀嚼能力,ディアドコキネシス,舌圧の測定を実施した.統計学的分析はマンホイットニーのU検定を実施の上,「転倒不安」を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.本研究は京都先端科学大学倫理審査委員会の承認を受けて実施し,開示すべき利益相反は無い(承認番号 E-382).
【結果と考察】
マンホイットニーのU検定より,男性では年齢,握力および舌圧で,女性では年齢,握力,ディアドコキネシス/pa/および舌圧で有意な関連性を認めた.さらに,ロジスティック回帰分析では男性では舌圧において弱いながらも関連性を(P = 0.048, OD = 1.087, 95%CI: 1.00–1.18),女性では年齢(P = 0.039, OD = 0.946, 95%CI: 0.90–1.00)で有意差を認めた.男性において転倒不安と舌圧との間に関連性を示したことより,今後,骨格筋指数などとの詳細な検討を行っていく予定である. KCLはフレイルチェックリストとして今後ますます活用されていくことから,KCLを用いたスクリーニングから医療機関,歯科医療機関への連携をいかに構築していくかが今後の課題と考える.
【目的】
高齢者の転倒と,残存歯数や咬合との関係は過去から報告されている.しかしながら,それ以外の口腔機能の客観的評価との関連性はあまり報告されていない.そこで今回,地域在住高齢者を対象とする大規模調査において,心身機能の衰えを確認するためのツール「基本チェックリスト(KCL)」における転倒不安に関する回答と口腔機能との関連性を検討した.
【方法】
2023年10月の京都先端科学大学との地域在住高齢者の身体・口腔機能に関する共同調査へ参加した高齢者326名(男性60名;平均年齢80.3±5.1歳,女性266名;平均年齢78.3±5.2歳)を対象とした.対象者は郵送で調査案内の連絡を受け,調査当日に公共交通機関等を使って自力で参加した者たちであり,調査開始前に書面にて同意を得た.脳血管や循環器疾患の既往のある者は除外した.
KCL「Q10. 転倒不安」への回答と年齢,BMI,握力に加えて,口腔機能低下症の検査項目である残存歯数,咬合力,咀嚼能力,ディアドコキネシス,舌圧の測定を実施した.統計学的分析はマンホイットニーのU検定を実施の上,「転倒不安」を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.本研究は京都先端科学大学倫理審査委員会の承認を受けて実施し,開示すべき利益相反は無い(承認番号 E-382).
【結果と考察】
マンホイットニーのU検定より,男性では年齢,握力および舌圧で,女性では年齢,握力,ディアドコキネシス/pa/および舌圧で有意な関連性を認めた.さらに,ロジスティック回帰分析では男性では舌圧において弱いながらも関連性を(P = 0.048, OD = 1.087, 95%CI: 1.00–1.18),女性では年齢(P = 0.039, OD = 0.946, 95%CI: 0.90–1.00)で有意差を認めた.男性において転倒不安と舌圧との間に関連性を示したことより,今後,骨格筋指数などとの詳細な検討を行っていく予定である. KCLはフレイルチェックリストとして今後ますます活用されていくことから,KCLを用いたスクリーニングから医療機関,歯科医療機関への連携をいかに構築していくかが今後の課題と考える.