公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

口腔機能

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-116] 姿勢の変化が頭位と咬合接触に及ぼす影響について

*小山 拳人1、坂口 究1、丸山 智章2、前田 望1、横山 敦郎1 (1. 北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野口腔機能補綴学教室、2. 茨城工業高等専門学校国際創造工学科)

[Abstract]
【目的】
 本研究は,姿勢の変化が頭位と咬合接触にどのような影響を及ぼすのか,さらに姿勢と頭位の変化の関連性を明らかにすることを目的とした.
【方法】
 被験者は健常者16名を選択した.自然直立姿勢をコントロールとして,姿勢を前後と左右に変化させ,重心と頭部の動揺の同時測定,および咬合接触の測定を行った.姿勢の変化は,踵の下にインソールを挿入し,前後は両足に挿入して両足挙上姿勢,左右は左足挿入時を左足挙上姿勢,右足挿入時を右足挙上姿勢とした.
 重心動揺の測定は足底圧分布測定システムを用いて,各姿勢時の前後と左右の足底荷重分布値を算出した.頭部動揺の測定は画像解析システムを用いて,頭部に設定した4測定点の体幹に対する動作解析を行った.頭位の変化の評価は,各姿勢時とコントロールの4測定点の重心座標の差分(以下,頭位の差分値)を算出した.咬合接触の測定は咬合接触圧分布測定システムを用いて,各姿勢時の前後と左右の咬合接触圧分布値を算出した.
 統計処理は,Friedman’s検定を行い,多重比較はWilcoxon t-test with Bonferroni検定を用いた.相関分析にはSpearman’s検定を用いた.有意水準はすべて0.05とした.
【結果と考察】
1.姿勢と頭位
 両足挙上姿勢時の前後の足底荷重分布値は,コントロールと比較して後方に偏位した.左足と右足の挙上姿勢時の左右の足底荷重分布値は,コントロールと比較して挙上側と同側に偏位した.両足挙上姿勢時の頭位は,コントロールと比較して後方に,左足と右足の挙上姿勢時の頭位は,挙上側と同側にそれぞれ偏位した.さらに,両足挙上姿勢時の前後の足底荷重分布値と頭位の差分値,左足と右足の挙上姿勢時の左右の足底荷重分布値と頭位の差分値にはそれぞれ正の相関が認められた.
2.咬合接触
 両足挙上姿勢時の前後の咬合接触圧分布値は,コントロールと比較して前方に,左足と右足の挙上姿勢時の左右の咬合接触圧分布値は,コントロールと比較して挙上側と同側にそれぞれ偏位した.
 以上の結果から,両足挙上姿勢時には,姿勢の前後のバランスと頭位は後方に,咬合接触圧バランスは前方にそれぞれ偏位すること,左足と右足の挙上姿勢時には,姿勢の左右のバランス,頭位および咬合接触圧バランスは挙上側にそれぞれ偏位すること,さらに,姿勢と頭位の変化には,正の相関が認められることが明らかとなった.