公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

症例

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-132] 上顎前歯単独欠損に対しカンチレバージルコニア接着ブリッジを応用した一症例

*外城 英史1、松前 団2、中村 健太郎3、山本 司将3 (1. 中国・四国支部、2. 関西支部、3. 東海支部)

[Abstract]
【緒言】
 一般的に上顎前歯単独欠損には,インプラント治療が第一選択であるが,歯根破折での抜歯では唇側骨が吸収し,治療難易度の上昇,予後不良のリスクが生じる.一方,上顎前歯単独欠損に対する治療の一つにカンチレバージルコニア接着ブリッジがあり,良好な予後が報告されている.しかしその応用は,先天性欠如などの歯槽骨の変化が少ない症例で,歯根破折による抜歯で歯槽骨の変化を伴うような症例の報告は少ない.
 そこで今回は,歯根破折により抜歯となった上顎前歯単独欠損に対し,カンチレバージルコニア接着ブリッジを応用した症例の2年半後の経過を報告する.
【症例の概要・治療内容】
 患者は初診時51歳の女性.主訴は2¥bdvabl¥の動揺であった.口腔内の診察および歯周精密検査より保存不可能と診断した.同部の唇側骨は中央で11mmの欠損があり,インプラント治療の難易度は高い.そこでカンチレバージルコニア接着ブリッジでポンティックの基底面形態をモデファイドオベイトポンティックにすることで将来的な歯肉の退縮に対応できると考え,両者を患者に説明したところ,この治療方法に同意が得られた.
 抜歯と同時に2¥bdvabl¥の人工歯を含むアプライアンスを装着した.ポンティック基底面形態はモデファイドオベイト型にし,経過観察を6か月間行い,歯肉の退縮がないことを確認した.
 1¥bdvabl¥にカンチレバージルコニア接着ブリッジのための支台歯形成を行い1),印象採得を行った.カンチレバージルコニア接着ブリッジと意図した位置関係を口腔内に再現するためのポジショニングアプライアンス1)を作製した.
 カンチレバージルコニア接着ブリッジの接着はラバーダム防湿下で行い,ポジショニングアプライアンスを利用して接着性レジンセメントで接着した.
【経過ならびに考察】
 補綴装置装着後2年半では歯肉の退縮は認められず,歯根破折により抜歯となった上顎前歯単独欠損症例に対するカンチレバージルコニア接着ブリッジの応用が有効であることが示唆された.
【参考文献】
1)Kern M.Resin‐Bonded Fixed Dental Prostheses Minimally invasive‐esthetic‐reliable.London: Quintessense Publishing; 2018, 139-186.
(発表に際して患者・被検者の同意を得た.)