Removable Prosthodontics

[P-15] Clinical Study on the effectiveness of tissue conditioner containing cetylpyridinium chloride montmorillonite

*Toshifumi Nogawa^1,2, Asuka Kodama¹, Rumi Horiuchi¹, Atsuro Yokoyama¹ (1. Department of Oral Functional Prosthodontics, Division of Oral Functional Science, Faculty of Dental Medicine, Hokkaido University, 2. Tohoku-Hokkaido Branch)

[Abstract]
【目的】
　義歯床下粘膜異常に対して使用される粘膜調整材は口腔内微生物により汚染されることで不潔になりやすい．この問題を解決するために，殺菌成分である塩化セチルピリジニウム（CPC）を含有した粘膜調整材が市販されている．抗菌性試験において持続的な細菌増殖抑制作用を示しているが，臨床における効果については検討されていない．そこで本研究では，2％CPCを含有する粘膜調整材による有害事象や細菌数，満足度について検討した．
【方法】
　2022年10月から2023年12月の間に北海道大学病院義歯科を受診した患者のうち，上顎に口蓋を被覆する形態の義歯を装着しており，義歯床下粘膜異常を呈する患者を対象とした． ティッシュコンディショナーCPC（モリタ，大阪）貼付前（BL）の義歯床粘膜面，舌背および口蓋と貼付2週間後（2week）の同部位を綿棒でスワブし，培地上に播種・培養し，S.aureusおよび真菌のコロニー数を計測し，Wilcoxonの符号付順位検定で比較した．また，VASにて患者満足度と疼痛に関するアンケートを行った． 本研究は，北海道大学病院生命・医学系研究倫理審査委員会の承認のもと行った（生022-0113）．
【結果と考察】
　研究期間内に同意が得られ，選択基準を満たした28例のうち，データの欠測があった2名を除く26名を解析対象者とした．
　義歯床下粘膜の炎症の程度を示すNewtonの分類¹⁾は，BLでTypeⅠが24名，TypeⅡが2名であった．2weekにTypeの変化はなく，その他の有害事象も認められなかった．各採取部位での貼付前後の菌数に統計学的な有意差は認めなかったが，義歯床粘膜面のS.aureusと真菌は，減少した症例を認めた（表）．患者満足度および口腔内の疼痛においては，貼付前後で統計学的な有意差を認めなかった．
　細菌が付着しやすい粘膜調整材の菌数を抑制している症例が認められたことから，CPCによる口腔内の細菌増殖抑制作用に一定の効果が期待できると考えられる．また，CPCの徐放量は貼付直後から徐々に減少することから，2週間より早い段階でより高い効果を示していた可能性もあり，今後検討する予定である．
【参考文献】
1) Newton AV. Denture sore mouth. A possibleetiology. Br Dent J 1962; 112: 357-60.