The 133rd Annual Meeting of the Japan Prosthodontic Society / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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Case Reports or series

Sun. Jul 7, 2024 12:00 PM - 1:00 PM Poster Session Hall (Makuhari Messe International Conference Hall 2F Convention Hall B)

[P-151] A case of occlusal reconstruction for elderly person using over denture with konus telescope crown considering ease of retreatment.

*Takamitsu Kurihara1, Mirai Hide1, Risako Nezu1, Akiyo Kawamoto1, Kazuya Takahashi1 (1. Osaka dental University)

[Abstract]
【緒言】
 現在,75歳以上人口は1,867万人で,総人口に占める割合は14.9%であり,65~74歳人口を上回っている. そのため,日々の臨床においても,後期高齢者に対する歯科治療を行うことは少なくない.本症例は,義歯装着経験がない多数歯欠損の後期高齢者に対して,咬合再構成による口腔機能の改善を課題とし,①疾患の原因 ②後期高齢者である患者の状態 ③不測の事態に備えた再治療を考慮した補綴治療を行なった.今回の症例では,テレスコープクラウンを用いた補綴装置による良好な結果が得られたため報告する.
【症例の概要,治療内容】
 年齢,80歳 男性 主訴,歯がぐらぐらする. 口腔内所見,多数歯欠損 歯科既往歴,30年歯科受診はなく義歯着用は未経験である.歯科恐怖症.全身既往歴,認知症(治療過程で発覚) 家族構成,妻 内服薬,なし 当患者の病態は「炎症のコントロール不足」が原因で生じた「高度な咬合崩壊」であると診断した.治療計画として,「咬合再構成」を行う必要があり,上顎,総義歯,下顎,部分床義歯を用いた補綴設計であった.治療開始に伴い,まず恐怖心を軽減できるように注意を払い治療用義歯Ⅰを製作した.上顎維持不良のため,抜歯と骨削合を行い改善を行なった後,炎症の改善が見られない521¥bddah¥12を追加で抜歯,治療用義歯Ⅱに移行した.しかし,クラスプを用いた補綴装置の設計が患者の巧緻性に相応しくないと判断し,テレスコープクラウンを用いた補綴装置の設計に変更した.次に,長期の欠損による顎位の病的偏位(左側)が考えられたため治療用義歯Ⅱ(フラットテーブル)を用いて2ヶ月の経過観察後(右側に1mm移動し変化が消失),テレスコープを用いた治療用義歯Ⅲに移行した.経過観察後、治療用義歯Ⅲを用いて最終義歯へと移行し補綴治療を終了した.
【経過ならびに考察】
 現在、審美的かつ機能的に問題なく,経過観察をしている.この症例では,下顎の補綴設計をテレスコープを用いた総義歯様の形態にしておくことで訪問診療に移行しても容易に再治療が行えるように配慮した.このように,後期高齢者における補綴治療は,再治療をできるだけ容易に行えるような補綴設計にすることが重要な要素の一つだと考えられる.