公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

有床義歯

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-30] DLPとLCD方式3Dプリンタで製作した義歯の造形角度の違いが精確さに与える影響

*水川 祐子1、川本 章代1、羽田 多麻木2、岩城 麻衣子2、金澤 学2、髙橋 一也1 (1. 大阪歯科大学高齢者歯科学講座、2. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔デジタルプロセス学分野)

[Abstract]
【目的】
 近年,光造形方式の3Dプリンタで製作した全部床義歯が臨床応用されている.光源の異なるDLPとLCD方式の3Dプリンタは,両者とも高速かつ一括で面露光するため,全部床義歯のような広い面積の造形に有用である.本研究では,DLPとLCD方式で製作した全部床義歯の造形角度の違いが精確さ(真度と精度)に与える影響を評価した.
【方法】
 造形角度(0度,45度,90度)とサポートを設定した全部床義歯データをSTL形式で出力した(マスターデータ).DLP方式3Dプリンタ(cara Print 4.0,Kulzer)にて製作した群をDLP群,LCD方式3Dプリンタ(ソニックマイティ 4K,Phrozen Technology)にて製作した群をLCD群とした.DLP群ではdima Print Denture Base(Kulzer),LCD群ではDH Print デンチャーベース(デンケン・ハイデンタル)の義歯床用光硬化樹脂を用いて,両群とも層厚100 μmに設定し造形後,サポート除去,洗浄,後重合を行った.完成した義歯床の粘膜面をスキャンしSTL形式で出力した(実験データ).3D偏差解析にて,真度は実験データをマスターデータに,精度は同条件の実験データからランダムに2つ選び,全ての組み合わせを重ね合わせ,二乗平均平方根(RMS)を算出した.造形角度に対してTukeyの多重比較を行った(p<0.05).
【結果と考察】
 真度では,DLP群とLCD群ともに90度のRMSが最も低く,45度,0度と続き,全ての造形角度間でRMSは有意差を認めた.精度は90度のRMSが最も高く,真度と逆の傾向を示したが,RMSは極めて小さかった.光造形方式3Dプリンタの造形角度が増加すると階段効果が減少する1)との報告より,本研究でも両群ともに90度のRMSが低いと示唆された.よって,DLPとLCD方式で製作した全部床義歯は90度の造形角度で最も高い精確さとなる可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Unkovskiy A, Schmidt F, Beuer F, et al. Stereolithography vs. direct light processing for rapid manufacturing of complete denture bases: An in vitro accuracy analysis. J Clin Med. 2021;10(5):1070.