[P-47] Enhancement of Bond Strength of Composite Resin to PEEK by UV irradiation
[Abstract]
【目的】
高性能熱可塑性ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン（PEEK）は，CAD/CAM冠用歯冠修復装置用材料として臨床応用が開始されている．しかしながら，その色調は単色のみであり，審美性の改善が必要と考えられる．色調改善のためコンポジットレジンを前装用材料として使用する場合には，接着性の改善が必要である．そこで，本研究ではPEEKに対するコンポジットレジンの接着強さ向上のため，PEEKに対して紫外線(UV)照射を行い，接着強さに及ぼす影響を検討した．
【方法】
PEEK (Victrex PEEK 450G, Victrex)の板状試験片（10.0 × 10.0 × 2.0 mm）を#1500耐水研磨紙にて研磨し被着面とした．被着面の処理条件は，処理なし（CO），UV照射(波長184.7 nmおよび253.7 nm，照射時間30分)（UV）の2群とし，静的接触角測定による親水性の評価（n = 8）と，X線光電子分光法（XPS）による化学結合状態を評価した（n = 3）．また，被着面に歯科切削加工用レジン材料(エステライトブロックⅡ，トクヤマデンタル)で作製した円柱状試験片(φ5 × 2.5 mm)をスーパーボンドC＆B (サンメディカル)にて接着し（n = 8）， 24時間37 ℃水中保管後に試験試料をアルミリングにアクリルレジンを用いて包埋した．万能試験機(AGS-H, 島津製作所)を用い，クロスヘッドスピード1.0 mm/minにてせん断接着試験を行った．接着試験後，破断面を実体顕微鏡にて観察し，破壊様相を分類した．得られた値について一元配置分散分析およびt検定を用いて有意水準0.05で検定を行った．
【結果と考察】
接触角はCO群 94.44° (6.03)，UV群 31.39° (4.55)であり，UV照射により接触角は有意に減少し (P < 0.05)，親水性が向上した． XPSによるO1Sスペクトル解析の結果，UV群でC=Oの減少とC-OHの増加が認められた．せん断接着強さ試験の結果を図に示す．被着面へのUV照射により接着強さは有意に向上した(P < 0.05)．破壊様相は，CO群は界面破壊100 %，UV群は界面破壊62.5 %，混合破壊25 %，凝集破壊12.5 %であった．本実験において，PEEK表面にUV照射を行うことによる高いぬれ性は，せん断接着強さを向上させることが示唆された．
【目的】
高性能熱可塑性ポリマーであるポリエーテルエーテルケトン（PEEK）は，CAD/CAM冠用歯冠修復装置用材料として臨床応用が開始されている．しかしながら，その色調は単色のみであり，審美性の改善が必要と考えられる．色調改善のためコンポジットレジンを前装用材料として使用する場合には，接着性の改善が必要である．そこで，本研究ではPEEKに対するコンポジットレジンの接着強さ向上のため，PEEKに対して紫外線(UV)照射を行い，接着強さに及ぼす影響を検討した．
【方法】
PEEK (Victrex PEEK 450G, Victrex)の板状試験片（10.0 × 10.0 × 2.0 mm）を#1500耐水研磨紙にて研磨し被着面とした．被着面の処理条件は，処理なし（CO），UV照射(波長184.7 nmおよび253.7 nm，照射時間30分)（UV）の2群とし，静的接触角測定による親水性の評価（n = 8）と，X線光電子分光法（XPS）による化学結合状態を評価した（n = 3）．また，被着面に歯科切削加工用レジン材料(エステライトブロックⅡ，トクヤマデンタル)で作製した円柱状試験片(φ5 × 2.5 mm)をスーパーボンドC＆B (サンメディカル)にて接着し（n = 8）， 24時間37 ℃水中保管後に試験試料をアルミリングにアクリルレジンを用いて包埋した．万能試験機(AGS-H, 島津製作所)を用い，クロスヘッドスピード1.0 mm/minにてせん断接着試験を行った．接着試験後，破断面を実体顕微鏡にて観察し，破壊様相を分類した．得られた値について一元配置分散分析およびt検定を用いて有意水準0.05で検定を行った．
【結果と考察】
接触角はCO群 94.44° (6.03)，UV群 31.39° (4.55)であり，UV照射により接触角は有意に減少し (P < 0.05)，親水性が向上した． XPSによるO1Sスペクトル解析の結果，UV群でC=Oの減少とC-OHの増加が認められた．せん断接着強さ試験の結果を図に示す．被着面へのUV照射により接着強さは有意に向上した(P < 0.05)．破壊様相は，CO群は界面破壊100 %，UV群は界面破壊62.5 %，混合破壊25 %，凝集破壊12.5 %であった．本実験において，PEEK表面にUV照射を行うことによる高いぬれ性は，せん断接着強さを向上させることが示唆された．