公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

ポスター発表

現地発表

クラウンブリッジ

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-49] オールセラミッククラウンと天然歯の畳み込みニューラルネットワークによる識別の試案

*西田 善紀1、森田 一三2、高見 精一郎2、山口 賀大1、髙木 信哉1、加藤 芳章1、足立 充1、大黒 英莉1、稲本 京子3、近藤 尚知1、佐久間 重光1 (1. 愛知学院大学歯学部冠橋義歯・口腔インプラント学講座、2. 日本赤十字豊田看護大学、3. 愛知学院大学歯学部総合歯科医学教育講座)

[Abstract]
【目的】
 スマートフォン等で自ら口腔内を撮影し補綴装置や口腔の健康状態の情報を得るような人工知能(AI)の応用が可能となれば,人々はさらに自身の口腔の健康に関心を持つことが推測される.本研究はそのようなAIの社会実装を見据えて,補綴装置と天然歯のAIによる識別の基礎技術の可能性を探ることをめざした.そこで,オールセラミッククラウン(ACC)と天然歯を含む口腔内画像データで学習させたAIを作成し,ACCと天然歯の識別能力をAIに獲得させる可能性を明らかにすることを目的に行った.
【方法】
 上顎両側中切歯にACCを装着し,画像提供の同意が得られた1名の患者において連続して撮影された口腔内画像の中から3つの画像を選択した.このうち,1つの画像を学習用画像,残りの2つの画像は評価用とした.学習用画像をドローソフトにて加工し,上顎両側中切歯(ACC),上顎両側側切歯・犬歯,下顎両側第一小臼歯間8歯(天然歯),歯列以外を黒色(RGB値:0,0,0)でマスクした3種類の画像を作成した.これらの画像を自作のプログラムにより24×24ピクセルの個別の学習用画像データとして取り出した.ただし,画像中に黒色のピクセルを含む学習用画像データは除いた.評価用画像も同じく24×24ピクセルに分割し,評価用画像データとして取り出した.作成した学習用画像データを用いてNeural Network Console version 2.10 (SONY社)にて深層学習を行った.深層学習を行うニューラルネットワークの構造は,入力層,畳み込み層・プーリング層・活性化関数(ランプ関数)からなる2層の中間層,2つの全結合層,出力層の構造とした.学習完了までの最適化の最大エポック数は100とし,バッチサイズは64とした.学習を行ったニューラルネットワークで評価用画像データの識別を行った.識別結果はCSVファイルで保存した.CSVで得た識別結果は自作のプログラムにより,画像として再構成した.
【結果と考察】
 再構成した画像では,上顎左右中切歯該当部にACCであること示す判定結果が多く得られ,畳み込みニューラルネットワークによるAIは,ACCと天然歯の識別能力の獲得が可能であると結論された.