公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

クラウンブリッジ

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-58] MMA含有プライマーとMMA系レジンセメントがPEEKの接着に及ぼす影響

*駒形 裕也1、赤間 廣輔1、永松 有紀1、池田 弘1 (1. 九州歯科大学生体材料学分野)

[Abstract]
【目的】
 PEEKの接着にはコンポジット系レジンセメントよりも,MMA系レジンセメントが適していることが報告されている1).しかし,MMA含有プライマーと各レジンセメントの組み合わせがPEEKの接着に与える影響は明らかになっていない.本研究の目的は,MMA含有プライマーと,MMA系レジンセメントまたはコンポジット系レジンセメントの組み合わせがPEEKの接着強さに与える影響を明らかにすることである.
【方法】
 松風PEEKブロック(松風)を厚さ4mmに切断し,サンドブラスト処理を施した.PEEKの接着には,4種類のプライマーとレジンセメントの組み合わせを用いた.具体的には,MC+SB群(M&Cプライマー+スーパーボンド,サンメディカル),SB群(スーパーボンドのみ),BM+MB群(ボンドマーライトレス+マルチボンドIIプライマー+マルチボンドII,トクヤマ),CA+BL群(CAD/CAMレジン用アドヒーシブ+ビューティリンクSA,松風)である.各プライマーをPEEKに塗布した後,ステンレス棒を各レジンセメントで接着し,常温で30分保持した.なお,各プライマーとレジンセメントはメーカーの指示に従い使用した.その後,37℃の水中で24時間浸漬し,引張試験を行った.比較として,UF群(即時重合レジンユニファストII,GC)を用いた試料の引張接着強さも同様に測定した.得られた引張接着強さをone-way ANOVAとTukey検定で統計的に比較した(p<0.05).
【結果と考察】
 PEEKに対する各群の引張接着強さは,MC+SB群で12.8±2.1 MPa,SB群で11.8±2.8 MPa,BM+MB群で9.8±2.5 MPa,CA+BL群で7.2±3.9 MPa,UF群で6.8±1.7 MPaとなった.これらの結果から,PEEKに対する引張接着強さは,MMA含有プライマーとMMA系レジンセメントの組み合わせが大きくなることが示唆された.また,MC+SB群とSB群間に有意差はなかった(p=0.93)ことから,MMA含有プライマーとMMA系レジンセメントの組み合わせがPEEKに対して高い接着性を示す理由は,プライマーの成分よりもセメントの成分に起因する可能性が示唆された.
【参考文献】
 1)Hata K, Komagata Y, Nagamatsu Y. et al., Polymers 2023;15, 1830.