[P-60] Research study of CAD/CAM crowns at The Nippon Dental University Niigata Hospital
[Abstract]
【目的】
CAD/CAM冠は,平成26年4月から,小臼歯の全部被覆冠として保険適用となった.その後,平成28年4月には,金属アレルギー患者という条件付きで大臼歯も保険適用に加わった.令和5年12月より,CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)が保険適用となり,すべての患者に対する大臼歯の歯冠修復が可能となった.CAD/CAM冠装着後のトラブルとしては,脱離が多く,また,装着後早期に脱離が生じていると報告1)されている.そこで,当院におけるCAD/CAM冠脱離の状況の調査を行った.
【方法】
令和4年9月から令和5年3月の7か月間に,日本歯科大学新潟病院にてCAD/CAM冠の装着をおこなった100例(男性34例,女性66例)を対象とし,脱離を生じた症例について検討をおこなった.なお,本研究は,患者の同意を得ている.上記7か月間にCAD/CAM冠を装着した症例数を前歯部,小臼歯部,大臼歯部に分類し,調査した.装着したCAD/CAM冠のうち,脱離した件数を調べ,その割合を算出した.
【結果と考察】
上記期間にCAD/CAM冠を装着した症例は100例で,その内訳は,小臼歯75例(75%),前歯6例(6%),大臼歯19例(19%)であった.そのうち,上記期間で脱離がみられた症例は,小臼歯8例(10.7%),前歯1例(16.7%),大臼歯0例(0%)であった. 脱離に影響を与える因子として,支台歯の形態,適合精度,接着,対合関係が考えられる.今回脱離を生じた部位は,小臼歯および前歯であり,大臼歯では認めなかった.大臼歯は,条件付きの適応となっており,上下顎両側第二大臼歯が全て残存し,左右の咬合支持あり,過度な咬合圧が加わらない場合に使用されている.そのため,大臼歯においては慎重な運用がされていたものと考える.一方で,小臼歯で脱離の割合が高い結果であったが,その要因の一つとして咬合の影響が考えられた.今後はさらにCAD/CAM冠装着後のトラブルに関する調査を継続し,良好な予後に繋がる検討を行う所存である.
【参考文献】
1) 新谷明一,三浦賞子,小泉寛恭ほか.CAD/CAM 冠の現状と将来展望.日補綴会誌 2017;9:1-15.
【目的】
CAD/CAM冠は,平成26年4月から,小臼歯の全部被覆冠として保険適用となった.その後,平成28年4月には,金属アレルギー患者という条件付きで大臼歯も保険適用に加わった.令和5年12月より,CAD/CAM冠用材料(Ⅴ)が保険適用となり,すべての患者に対する大臼歯の歯冠修復が可能となった.CAD/CAM冠装着後のトラブルとしては,脱離が多く,また,装着後早期に脱離が生じていると報告1)されている.そこで,当院におけるCAD/CAM冠脱離の状況の調査を行った.
【方法】
令和4年9月から令和5年3月の7か月間に,日本歯科大学新潟病院にてCAD/CAM冠の装着をおこなった100例(男性34例,女性66例)を対象とし,脱離を生じた症例について検討をおこなった.なお,本研究は,患者の同意を得ている.上記7か月間にCAD/CAM冠を装着した症例数を前歯部,小臼歯部,大臼歯部に分類し,調査した.装着したCAD/CAM冠のうち,脱離した件数を調べ,その割合を算出した.
【結果と考察】
上記期間にCAD/CAM冠を装着した症例は100例で,その内訳は,小臼歯75例(75%),前歯6例(6%),大臼歯19例(19%)であった.そのうち,上記期間で脱離がみられた症例は,小臼歯8例(10.7%),前歯1例(16.7%),大臼歯0例(0%)であった. 脱離に影響を与える因子として,支台歯の形態,適合精度,接着,対合関係が考えられる.今回脱離を生じた部位は,小臼歯および前歯であり,大臼歯では認めなかった.大臼歯は,条件付きの適応となっており,上下顎両側第二大臼歯が全て残存し,左右の咬合支持あり,過度な咬合圧が加わらない場合に使用されている.そのため,大臼歯においては慎重な運用がされていたものと考える.一方で,小臼歯で脱離の割合が高い結果であったが,その要因の一つとして咬合の影響が考えられた.今後はさらにCAD/CAM冠装着後のトラブルに関する調査を継続し,良好な予後に繋がる検討を行う所存である.
【参考文献】
1) 新谷明一,三浦賞子,小泉寛恭ほか.CAD/CAM 冠の現状と将来展望.日補綴会誌 2017;9:1-15.