公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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クラウンブリッジ

2024年7月6日(土) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-64] ハイブリッドレジンおよびPEEK応用大臼歯CAD/CAM冠の長期臨床経過

*香川 和子1、横井 美有希1、安部倉 仁1、加藤 真康1、西尾 文子2、梅原 華子1、吉賀 ちひろ1、若松 海燕1、森田 晃司1、土井 一矢1、津賀 一弘1 (1. 広島大学大学院医系科学研究科先端歯科補綴学、2. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科顎顔面機能再建学講座咬合機能補綴学分野)

[Abstract]
【目的】
 ハイブリッドレジンは2017年から保険収載され,広く治療に使用されてきた.さらにポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が2023年12月に特定保険医療材料となり,これですべての歯種にCAD/CAM冠が適応可能となった.新規材料のPEEKはすべての大臼歯に使用可能であるが,長期経過については不明の部分が多い.本研究の目的は,ハイブリッドレジンおよびPEEK材を用いた大臼歯CAD/CAM冠の長期臨床経過を明らかにすることにある.
【方法】
 対象は,2016年1月から2021年3月までの期間に広島大学病院歯科外来にて大臼歯に装着されたハイブリッドレジン(H群)あるいはPEEK(P群)CAD/CAM冠とした.カルテ情報より装着からの経過年数,破折や脱離などのトラブルを調査し,観察期間である2021年10月から2024年1月までに歯科受診したH群48名(51装置)(男性8名,女性40名,平均年齢51.6±18.1歳)のうち,18名(19装置)(男性4名,女性14名,平均年齢54.3±16.6歳)には,口腔内診査とクラウンの評価を行った.P群16名(20装置)(男性5名,女性11名,平均年齢54.3±16.6歳)にも,口腔内診査とクラウンの評価を行った.本研究は広島大学倫理審査委員会(承認番号E-2631)の承認を得て行った.
【結果と考察】
 H群のうち歯内療法等の再治療のために冠を除去した6装置と,P群のうち抜歯となった2装置は,冠自体のトラブルではないと判断し,集計から除外した.H群の残りの45装置を調査対象としたところ,9 装置(20.0%)で脱離,4装置(8.9%)で破折などトラブルが生じていた.H群でトラブルが生じていない32装置の平均経過期間は41.9±12.9カ月で,破折や脱離が起こった経過期間は18.9±14.7カ月であった.P群の経過期間は42.4±10.2カ月で,18装置すべてにおいて脱離や破折などのトラブルは発生していなかったが,咬耗や摩耗が認められた.以上の結果より, PEEK材CAD/CAM冠はハイブリッドCAD/CAM冠より咬耗や摩耗が生じやすいが,脱離や破折は生じにくい可能性が示唆された.