[P-81] Effect of odor on cerebral cortical blood flow during gum chewing
[Abstract]
【目的】
心地よい香りは運動への意欲やエネルギーを増加させ,運動能力向上に繋がると報告されている.咀嚼運動と嗅覚刺激が相互に影響し,大脳皮質神経活動が増強すると考えられるが詳細は未だ明らかでは無い.
本研究では食品の香りが咀嚼時の神経活動を増強させるかについて近赤外光法(Functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)を用いた脳機能イメージングにより検討を行った.
【方法】
被験者は右利きで,健常有歯顎者36名 (男性19名,平均年齢28.0±4.0歳)とした.被験者には事前に実験内容を説明し書面にて参加の同意を取得した.
タスクはレモンの香りを含むガム(Odor-gum)と香りのないガム(Odorless-gum)の咀嚼とし,咀嚼後ガムに関するVisual analog scale(VAS)の評価を行った.
脳皮質血流変化を評価するためfNIRS(LABNIRS,島津製作所)を用い前頭葉と感覚運動野の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を計測した.oxy-Hbは咀嚼前40-30秒を基準とした変化量(Area Under Curve:AUC)に換算し評価した.また一次体性感覚野/一次運動野・補足運動野/背外側前頭前野を関心領域とした.
筋電図より両側咬筋活動を評価し,心電図より心拍数と副交感神経活動(HF)を算出し,自律神経活動を評価した.これらは咀嚼5分前の中央値を基準としたAUCを算出し咀嚼による変化を分散分析とPost hoc testにより検討した.
【結果と考察】
VASは全項目でOdor-gumが有意に高値を示した.いずれのガム咀嚼でもoxy-Hbは咀嚼前より増加した.Odor-gumとOdorless-gumとのoxy-Hbの比較では,左半球の一次体性感覚野,一次運動野,補足運動野,背外側前頭前野でOdor-gumがOdorless-gumより有意に高値を示し,香りが咀嚼運動関連皮質に加え,高次認知機能制御に関わる皮質活動を亢進させると示唆された.
筋活動はガム間の差は観察されなかった.一方,副交感神経活動HFはOdor-gum咀嚼がOdorless-gum咀嚼より低値を示し,香りが自律神経活動の変調に影響したと考えられた.
以上より,食品の香りは咀嚼時の左半球の咀嚼関連皮質の神経活動を変調させ、咀嚼運動による脳神経活動を亢進させる事が示唆された.
【目的】
心地よい香りは運動への意欲やエネルギーを増加させ,運動能力向上に繋がると報告されている.咀嚼運動と嗅覚刺激が相互に影響し,大脳皮質神経活動が増強すると考えられるが詳細は未だ明らかでは無い.
本研究では食品の香りが咀嚼時の神経活動を増強させるかについて近赤外光法(Functional near-infrared spectroscopy:fNIRS)を用いた脳機能イメージングにより検討を行った.
【方法】
被験者は右利きで,健常有歯顎者36名 (男性19名,平均年齢28.0±4.0歳)とした.被験者には事前に実験内容を説明し書面にて参加の同意を取得した.
タスクはレモンの香りを含むガム(Odor-gum)と香りのないガム(Odorless-gum)の咀嚼とし,咀嚼後ガムに関するVisual analog scale(VAS)の評価を行った.
脳皮質血流変化を評価するためfNIRS(LABNIRS,島津製作所)を用い前頭葉と感覚運動野の酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を計測した.oxy-Hbは咀嚼前40-30秒を基準とした変化量(Area Under Curve:AUC)に換算し評価した.また一次体性感覚野/一次運動野・補足運動野/背外側前頭前野を関心領域とした.
筋電図より両側咬筋活動を評価し,心電図より心拍数と副交感神経活動(HF)を算出し,自律神経活動を評価した.これらは咀嚼5分前の中央値を基準としたAUCを算出し咀嚼による変化を分散分析とPost hoc testにより検討した.
【結果と考察】
VASは全項目でOdor-gumが有意に高値を示した.いずれのガム咀嚼でもoxy-Hbは咀嚼前より増加した.Odor-gumとOdorless-gumとのoxy-Hbの比較では,左半球の一次体性感覚野,一次運動野,補足運動野,背外側前頭前野でOdor-gumがOdorless-gumより有意に高値を示し,香りが咀嚼運動関連皮質に加え,高次認知機能制御に関わる皮質活動を亢進させると示唆された.
筋活動はガム間の差は観察されなかった.一方,副交感神経活動HFはOdor-gum咀嚼がOdorless-gum咀嚼より低値を示し,香りが自律神経活動の変調に影響したと考えられた.
以上より,食品の香りは咀嚼時の左半球の咀嚼関連皮質の神経活動を変調させ、咀嚼運動による脳神経活動を亢進させる事が示唆された.