公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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ポスター発表

現地発表

バイオロジー・バイオマテリアル

2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-88] レジンコーティング材塗布後の処理による接着性の違い

*白木 麗1、木本 克彦1、二瓶 智太郎2 (1. 神奈川歯科大学 歯科補綴学講座 クラウンブリッジ補綴学分野、2. 神奈川歯科大学 歯科診療支援学講座 クリニカル・バイオマテリアル学分野)

[Abstract]
【目的】 
 本研究は,歯冠修復装置が装着されるまでをシミュレーションした流れに沿って,象牙質レジンコーティングによる接着性を検討した.
【方法】
 供したレジンセメントは,メチルメタクリレート系(SB;スーパーボンド),コンポジット系(PV,パナビア)の2種とした.また,歯面処理はハイブリッドコートⅡ(Hyb)と各レジンセメントの業者指定のティースプライマー(TP)およびトゥースプライマー(PR)とした.被着体はウシ前歯歯冠部象牙質面を平坦にし,各業者指示通りに処理を行った後,約4 mmの高さで各レジンセメントを接着した.SBは室温にて15分間静置し,PVは上面より40秒間光照射し重合,硬化させた.試料は,硬化後,直ちに自動回転切断機にて接着界面が1 mm2となるようにビーム状に切断し,37 ℃脱イオン水中に7日間保管し,その後オートグラフにて微小引張接着試験を行った.また,各処理後に仮着材(ハイボンドテンポラリーセメント)を薄く一層塗布し,37℃脱イオン水中に7日間保管後に仮着材を除去し,機械的清掃した後にレジンセメントを接着し,7日間水中保管した後に,同様に接着試験を行った.さらに,仮着材除去した後に各プライマーを再度塗布してレジンセメントを接着した試料も作製した.なお,試料数は各群10個とし,得られた結果は統計分析した.
【結果と考察】 
 付属のプライマー塗布後の微小引張接着強さは,Hybを塗布した群と比較して PVでは有意差は認められなかった(p>0.05)が,SBでは有意に高い値を示した(p<0.05).また,仮着材除去後の接着強さはPVのみ有意差を認め(p<0.05),機械的歯面清掃後の接着強さではPVとSBともに有意差は認められなかった(p>0.05).再度プライマーでコーティング処理後の接着強さは,PVとSBともに有意差を認めなかった(p>0.05).以上の結果より,2種のレジンセメントは各コーティング処理面に対して比較的良好な接着性を示したが,エタノールで清拭した後に接着した群は低い接着強さであったことから,未重合層の残存は必要であることが示された.また,仮着材を塗布し,除去した後は,再度レジンコーティングする必要があることが示された.各群の接着強さの違いは,プライマーに含有される接着性モノマーの影響を受けている可能性が示唆された.