公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

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2024年7月7日(日) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール B)

[P-98] 各種食品咀嚼時の咀嚼運動の差異

*横山 正起1、小見野 真梨恵1、上杉 華子1、志賀 博1、中島 邦久1、佐野 眞子1、仁村 可奈1、倉持 淳子1 (1. 日本歯科大学生命歯学部 歯科補綴学第1講座)

[Abstract]
【目的】
 本研究は,各種食品咀嚼時における運動経路,運動リズム,運動速度の差異を明らかにすることである.
【方法】
 本研究は,日本歯科大学生命歯学部倫理委員会の承認のもとに行った(承認番号:NDU-T2020-31).
 グミゼリー咀嚼時のグルコースの溶出量の測定による咀嚼能力が基準値(150 mg/dL)以上を示す健常有歯顎者に軟化したチューインガムを主咀嚼側で20秒間咀嚼させたときの下顎運動をMotion Visi-Trainerを用いて記録した.第5サイクルからの10サイクルについて,咀嚼運動経路の重ね合わせと平均経路より,運動パターンを5種類1)に分類し,正常パターンを示した20名(男性10名,女性10名,平均年齢27.1歳)に対し,グミゼリー,ピーナッツ,ビーフジャーキ咀嚼時の咀嚼運動記録を行い,パターン分類,開口量,サイクルタイム,運動速度(開口時最大速度,閉口時最大速度)を算出した.分析は,運動パターンは4食品間で比較し,定量的データに対して4食品間で対応のある多重比較を行った.
【結果と考察】
 各種食品咀嚼時の運動パターンは同一であった.開口量は,チューインガムとグミゼリー咀嚼時では近似した値を示したが,ピーナッツとビーフジャーキ咀嚼時では大きくなり,チューインガムとグミゼリー咀嚼時を除くすべての2食品間に有意差が認められた.サイクルタイムは,チューインガムとビーフジャーキ咀嚼時,グミゼリーとビーフジャーキ咀嚼時においてのみ有意差が認められた.運動速度は,チューインガムとグミゼリー咀嚼時では近似したが,ピーナッツ咀嚼時,ビーフジャーキ咀嚼時では速くなり,チューインガムとグミゼリー咀嚼時,ピーナッツとビーフジャーキ咀嚼時を除く2食品間に有意差が認められた.
 これらの結果から,良好な咀嚼機能を有する健常有歯顎者では,各種食品咀嚼時でも運動経路のパターンに変化は認められないこと,運動量と運動速度は,チューインガムやグミゼリー咀嚼時に比べ,ピーナッツやビーフジャーキ咀嚼時では有意に大きくなることが示唆された.
【参考文献】
1) Shiga H, Nakajima K, Yokoyama M et al. Masticatory path pattern and masticatory performance while chewing gummy jelly. Odontology 2023; 111: 728-733.