Oral Presentation Competition 3
Biology

[課題8] Inhibitory effects of agmatine on anxiety-like behaviors with neural changes in the brain in male mice

*Yuya Iwamoto^1,2,3, Mana Hasegawa^2,3, Kensuke Yamamura³, Noritaka Fujii^1,2 (1. Division of Dental Clinical Education, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, 2. General Dentistry and Clinical Education Unit, Niigata University Medical and Dental Hospital, 3. Division of Oral Physiology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences.)

[Abstract]
【目的】
　酒粕などの米発酵食品は心理ストレスや痛みを軽減する．そしてその機能性成分としてアグマチン(AGM)が注目されている．本研究ではAGMの治療または予防投与が顔面痛が誘発する負の情動生成に対し，どのような影響を与えるかについて不安行動およびその基盤となる脳神経系の機能変化を指標に検討する．本成果は，食生活の工夫が不安や慢性痛を予防し我々の生活の質を向上できる根拠の提示につながる．
【方法】
　C57BL/6Jマウス(雄)の左側咬筋にComplete Freund’s Adjuvant(CFA)を注入し，咬筋炎症性疼痛モデルを作製した．AGM（30mg/kg, i.p.）または生食水の投与法は，CFA注入前までの10日間実施する「予防投与」と，CFA注入後から10日間の投与を開始する「治療投与」の２種類である(図１)．不安行動は高架型十字迷路など５種類の行動評価法を用いCFA注入後から11日目まで行った．また12日目に還流固定し，AGMが大脳の興奮性におよぼす影響を，前帯状皮質(ACC)，島皮質(IC)でのFosBタンパクの発現を指標に検討した．両部位は痛みや不安の制御に関与することが知られる．
【結果と考察】
　CFA注入後，不安行動は増大した．AGMの治療および予防投与はいずれも生食水投与と比べ不安行動を軽減させた(図２)．ACC，ICでのFosB発現はCFA注入により増加した．AGMの治療投与は両部位でFosB発現を低下させたが，予防投与ではACCでのみ軽減した．
　以上の結果はAGMの治療投与は咬筋痛モデルの大脳皮質の変調を改善させ，不安行動を軽減できることを示唆する．さらに同様の効果が予防投与によっても見られたことから，米発酵食品などAGM含有食品の日常的な摂取は，口腔顔面部の慢性痛の発生を軽減できるだけでなく，発症自体を軽減できることが示唆された．
【参考文献】
1) Hasegawa M, Fujii N, Yamamura K, et al. Effect of daily treadmill running exercise on masseter muscle nociception associated with social defeat stress in mice. European J Oral Science 2022; 130(4)