公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

修練医・認定医・専門医制度委員会セミナー

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

修練医・認定医・専門医制度委員会セミナー(共通研修①)
安全な補綴歯科診療の実現に必要な有病高齢者のリスクマネジメント

2024年7月5日(金) 16:40 〜 17:50 第2会場 (幕張メッセ国際会議場 2F 国際会議室)

座長:隅田 由香(日歯大)

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[SBCS] 安全な補綴歯科診療の実現に必要な有病高齢者のリスクマネジメント

*大渡 凡人1,2 (1. 九州歯科大学、2. 東京医科歯科大学)

[Abstract]
 歯科医療が「安全」でなければならないことはいうまでもない.しかし,歯科医療における安全の担保は容易ではなくなりつつある.その理由の一つが,高齢者の増加である.人口高齢化を背景に,歯科患者の年齢は高齢者側にシフトしている.なかでも,補綴歯科診療は歯の欠損を対象とすることが多いため,高齢者が占める割合は一段と高い.ヒトは加齢により動脈硬化が進み,予備力が低下し,全身疾患の併存が増える.同時に,多数の薬物を服用・使用するようになり,薬剤有害反応の可能性も高まる.さらに,ペースメーカやICDなどのデバイス植込みも増え,診療に制限が加わりやすくなる.このような背景により,高齢者の歯科診療における安全の担保は難しくなっている.いうまでもないが,訪問診療の対象となる要介護高齢者のリスクは更に高い.
 もう一つ,安全の担保を難しくしている理由がある.矛盾するようであるが,医療技術の進歩である.例えば,以前であれば外出も困難であった重症心不全患者が,新しい薬剤,CRTや補助人工心臓などにより,歩いて外来を受診できるようになった.それ自体は福音であるが,「歩いて受診できることは健康の証拠」にはならない時代になった,ともいえよう.
 このように,リスクが上昇している補綴歯科診療の安全を担保するためには,全身疾患や薬物などを理解し,全身的偶発症を予防するための,医学的エビデンスに基づいたリスクマネジメントを行わなければならない.本講演ではその基本について,できるだけわかりやすく解説する予定である.

トピックス
●高齢者
●全身疾患
●リスクマネジメント