公益社団法人日本補綴歯科学会第133回学術大会 / The 14th Biennial Congress of the Asian Academy of Prosthodontics (AAP)

講演情報

シンポジウム

現地発表+ライブ配信(オンデマンド配信あり)

シンポジウム2
クラウンブリッジにおける補綴材料を再考する〜金属・陶材・ジルコニアは臨床でどのような影響を与えるか?〜

2024年7月6日(土) 10:40 〜 12:10 第1会場 (幕張メッセ国際会議場 2F コンベンションホール A)

座長:梅原 一浩(東北・北海道支部)、馬場 一美(昭和大)

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[SY2-1] 対合歯の摩耗を考える

*伴 清治1 (1. 愛知学院大学歯学部歯科理工学講座)

[Abstract]
 修復物が装着されている場合の対合歯の摩耗挙動は修復材料の種類によって異なり,定量的評価がin vitroで行われてきた.2000年代初頭の報告ではジルコニアにより対合歯の摩耗が大きいという報告が散見できる.一方,2010年以降ではジルコニアは他のセラミックスよりも対合するエナメル質の摩耗は少ないとする報告が多くなっている.これは,ジルコニアの表面仕上げ方法の改良に依存している.ジルコニアは微細なダイヤモンド粉末を含む研磨剤により,きわめて滑沢な表面にすることができるため,表面を滑沢にすれば,他の修復材料よりも対合するエナメル質の摩耗は少ないと判断できる.我々は摩擦係数の測定により摩耗挙動を評価しているが,ジルコニアはハイブリッドレジンおよびガラスセラミックスよりも摩擦係数が小さく,また摩耗回数が増えようとも変化しなかった.走査電子顕微鏡観察によって確認した結果,摺動操作によってもジルコニア表面は変化せず滑沢な表面が維持されていることが確認された.以上のように,歯の摩耗は多くの因子によって影響されるが,正しく鏡面研磨仕上げしたジルコニアは他の修復材料と比較して対合歯の摩耗が最も少ないと判定される.
 In vivoにおける定量的評価に関する信頼性のおける報告は少なく,必ずしもin vitroの評価と一致していない.これは,口腔内での対合歯の摩耗は,ほぼ同時に相互作用する多くの異なる要因に依存するためと考えられた.

トピックス
●修復材料
●対合歯
●摩耗