第49回日本理学療法学術大会

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発表演題 ポスター » 生活環境支援理学療法 ポスター

健康増進・予防1

Fri. May 30, 2014 10:50 AM - 11:40 AM ポスター会場 (生活環境支援)

座長:高井逸史(大阪物療大学保健医療学部)

生活環境支援 ポスター

[0063] 地域在住高齢者の習慣的な身体活動に関与する因子の検討

青山満喜1, 伊藤三幸2, 上之郷由希2 (1.名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学, 2.伊勢志摩リハビリテーション専門学校)

Keywords:高齢者, 身体活動, 栄養状態

【はじめに,目的】
近年,高齢者の栄養状態は身体機能に影響をおよぼすため,リハビリテーション分野においても重要な事柄であり,看過できないことは認識されている。しかしながら,高齢者における実際の栄養状態と習慣的な身体活動の関連を報告したものはあまり多くはない。今回我々は,地域在住高齢者における栄養状態ならびに習慣的に行っている身体活動とそれに関与する因子を検討するために調査を実施した。
【方法】
名古屋市とその近郊の地域在住高齢者,267名を対象とした。対象者の平均年齢は,75.5±6.0歳。内訳は,男性(84名,75.5±6.4歳),女性(183名,75.5±5.8歳)であった。習慣的身体活動は,Modified Baecke Questionnaire(MBQ),栄養状態は,簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment-Short Form:MNA-SF),併存症ならびに合併症は,Charlson Comorbidity Index(CCI)を用い,聞き取り法と自己記入式により調査・評価し,関与する因子を検討した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本調査は本学の倫理委員会で承認されたものである。調査にあたり対象者には口頭と書面で説明し,書面による同意を得た。また,結果に関して発表することがあり得る事も説明し了承を得た。
【結果】
統計解析にはSPSS Ver. 18.0を使用し,パラメトリックおよびノンパラメトリック検定にはT検定とMann-WhitneyのU検定を用いた。その結果,MBQ,MNA-SFともに(p<0.05)で有意差を認めたが,CCIは(p=0.462)で有意差を認めなかった。
【考察】
今回の結果から,地域在住高齢者における日常の習慣的な身体活動に関与する因子として,身体的な併存症や合併症よりも栄養状態がより一層関係の強いことが示唆された。今後も増加の一途にある高齢者の身体活動を維持していくには,運動機能だけではなく,栄養状態も考慮することの重要性が明らかになったということができる。
【理学療法学研究としての意義】
高齢者の栄養状態は,身体的な虚弱性(frailty)にも直結する重要な関連因子のひとつである。高齢者の身体活動を適切に維持することは,健康寿命の延長に繋がる。その結果ADLやQOLの維持・向上だけではなく,最終的には介護予防に関係してくる。したがって,医療経済学的観点からも重要な課題であるということができる。今回の結果は,理学療法学を考慮し,実施するうえでの有効な指標のひとつになると考える。